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「大倉、会議しよか。」

主だったメンバーを集めての会議。なんとなく話の内容はわかっているのか、みんな緊張した面持ちで会議室に入ってくる。

「では、俺の方から話をさせてもらいます。実は…」

みんな資料を見ながら最後まで黙って話を聞いている。

「俺としては合併の方向で考えています。合併したあとに好き放題される心配は丸山さんの所ではないと思うし、このブランドの本質を守ったまま、名前も残してもらって、一気に事業が拡大できる可能性がある。

給料も今より下がることはないし、部署や役職によっては上がる可能性のある人の方が多い。

これからの発展を考えるとかなり有益やと思う。急な話やけど、みんなの意見を聞かせてほしい。」

集まったみんなの顔を見る。小さいところからみんなで頑張って会社を大きくしてきた。また訪れた転機をどう乗り越えるか…

「俺は、この仲間でいいもん作る可能性が広がりそうやし賛成です。」

「マイナス点がないですよね。いいことばかりで逆に怖い気もしますけど。」

「丸山さんはうちのブランドをかなり高く評価してくれてる。ここでどれだけ出費しても元がとれると思ってはるから。」

「そんなに…」

「このブランドの本質が、合併で崩れないよう配慮をしてくれてるし、向こうは営業の力がすごいから、デザイナーとして力のある人がそっちに集中出来るように助けてもくれる。」

「…反対するところがない。」

「大倉さん、すごい人に認められましたね。」

「この不況の中で生き残るには、どんどん形を変えるのも手やないですか?」

「反対意見は?」

「あとは個人の考え方ちゃいますか?大きな会社で多くの人と切磋琢磨するのがしんどいと感じる人もいれば、益々磨かれていく人もいるでしょ?」

「そうですね。」

「じゃあ、ここのメンバーは合併に賛成ということで大丈夫?」

見渡すと笑顔で頷くみんな。

「まぁ…ひとつだけ……」

「え?」

「社長のこと、もう社長と呼べないのは悲しいです。」

「…」

「社長顔ですもんね、大倉さん。」

「ちょっと、みんな大倉泣くんちゃうか!」

「え!?あのいつも冷めてる社長が!」

「誰がいつも冷めてんねん!」

(笑)

「社長、頑張っていきましょう。もっとみんなで良いもの作りたいです。」

「わかった。じゃあ、あした、俺から他のみんなに話するわ。細かいことは各部署にお願いしていいか?」

「わかりました。」

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作者名:orange | 作成日時:2021年3月14日 20時

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