感情泥棒 (ページ6)

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第六話ページ6

どこか安全なところへ、

早く逃げないと。

その時、

パーン

と乾いた音が空を切った。

僕の胸から、赤黒い何かが、

滴れる。

血だ。

痛みに耐えながら、ゆっくりと後ろを向く。

ケイラ・モーガンが近づいてくる。

「よう、怪盗テイラー。」

「・・・・・・・っ！」

「早速だが、Aを返してもらえないか？」

「・・・・・・・嫌だ。」

「ふーん。ま、いいや。」

そう言って、ケイラ・モーガンは、Aの首元を触り始めた。

そして、

カチャッ

と、首元を開いた。

中から、GPSを取り出していた。

・・・・・・騙されたんだ。

これは、僕をおびき寄せる罠だったんだ。

「Aの人形、いる？」

「・・・・・・・。」

「でも、その前に、お前を刑務所へ送り届けてやるよ。」

ギュッとAの手を握りしめる。

全力の力を使い果たしてでも、

君の手を握るよ。

もう一度だけでいいから、

君の手に、

触れたいと叫んだ。