約束？ ページ7
「...私、置いてかれたの...。」
「は？誰に？」
「だから、...」
私は観念してこれまでのことを彼に話した。
そしたら、
これでもかってほどに笑われた。「ついてねぇなぁ、お前！」と、指をさしながら。だから、人に指を指すな！
「うるさいな！それより、あんた何者なのよ！どこの海賊団よ！」
「へ、お前、海兵なのに俺のこと知らないのかぁ？」
はぁ？なんだその言い方は。ナルシストなのか？めんどくさいなぁ…
「知らない。だいたい、暗くて顔なんか見えないもの」
「あー、そーいうことなら知らない方がいいな」
「なにそれ？はぁ、もういいわ」
どうせ、高い賞金首だとしても、私には彼を捕らえられないだろうし。それよりも今は一刻も早くツル中将の船に合流しなくては！
これからどうしようかと思案していたところで、ポンポンと肩を叩かれた。
「なに」
「お前困ってんだろ？」
「助けてやろうか？」
「え。」
彼の言葉に思わず固まる。なんだか彼には驚かされてばかりだ。
「つっても、ま、俺も船に帰らなきゃならねえし、それからってことになるけどな。ここからじゃ陸地も海軍基地も遠いしよ、労力のこと考えりゃその方が楽だと思うけどよ？」
こんなのじゃ何日かかるかわかんねぇぞ？といって、彼はコンコンと縁を小突いた。
「そ、そんなの、願ったり叶ったりだけど...ホントにいいの？」
「いいって言ってんじゃねえか」
「え、で、でもなんでそこまでしてくれるわけ？私、海兵だよ？」
「お前このままじゃの垂れ死ぬぞ？そんなの、気分悪ぃぜ」
その気持ちはわかる。現に私もあの沈んでいく船の海賊たちをほっとけなかった。
「それによー、」
「...」
「お前なんか俺の昔馴染みににてんだよ。不運なとこがな」
笑いながらそう言った彼の終わりの一言には納得いかないが、素直にこの誘いに乗ることにした。
「わかった。私も協力してもらえると助かる。じゃ、悪いけどよろし―――」
「あー、その前に約束だ」
「約束？」
「あぁ。いいか？ここで俺はお前に大きな貸しを作った」
「うん」
「だから、俺を捕まえるのはなしだ！いいな！」
「それだけ？」
「そうだ！」
「ぷっ、あはは！そんなの、出来っこないじゃん。私の方があんたより格下だよ。」
「まあそれもそうだな！なはははっ！」
いや、少しは否定しろよ。ホントに失礼なやつだなコイツ。
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作者名：日比野 スズメ | 作成日時：2018年11月25日 17時
