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「さっきのりょうさんっていう人、かっこよかったね」
Aが言った。
その瞬間、心臓を握りつぶされたような感覚になって、
胸が苦しくて、息ができない。
リョウサンッテイウヒト。
��カッコヨカッタネ��？
りょうがかっこいいことなんかずっと前から知ってる。
ずっと前から。
ずっと前からかっこいい。
俺は、かっこよくない。
少なくともAには、そう見えてる。
そんなの気にしてない。
りょうには勝てない。
胸が苦しい。
たくさんの想いが俺を苦しめてくる。
そいつらが、俺を寝室から追い出そうとする。
「着替えたら出てきて」
返事も聞かずに、寝室から逃げるように去った。
出ると同時に、なんとも言えない気持ちが喉元までこみ上げてきて。
吐き気だ。
Aが出て来ていないのを見て、便所に駆け込んだ。
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リビングに戻ると、ソファには服を着たAがすでに座っていた。
「'悪いな…無理に帰しちゃって」
軽く咳払いをしつつ後ろから話しかけると、Aはびくっと肩を震わせた。
「びっくりしたじゃん」
そんなに気に留めてないのか、逆に俺の声に驚いたみたいだった。
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「じゃ、帰るね」
「おう、またな」
玄関で見送り、軽く手を上げてそう言う。
Aは俺の真似なのか、手を胸元まで上げて不器用に微笑む。
そんな仕草までも可愛らしいなんて、思った。
彼女は甘い香りをふわっと残して去っていった。
膝の力が抜けて、跪(ひざまず)く。
顔が火照るのが分かって、顔を手で覆い隠した。
「…あぁ」
涙が流れた。
どうしてかは、分からない。
明日出かけるなんて、そんなの嘘だ。
このまま彼女としていたかった。
けど現実はそう甘くなかったから。
Aは、俺とするのが不満なのか。
手を繋ぐにも、唇を重ねるにも、
なんか、ほんとちょっとだけど距離を感じてしまって。
俺が思ってる気持ちと違うみたいだ。
だから、俺がヘタレだから、耐えきれなくて。
出かけるからなんて、下らねぇ嘘ついて。
挙句の果てに、りょうがかっこいいだなんてな。
つくづくアホだなぁ、俺…
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更新遅れてしまいすみません…！
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作者名：. | 作成日時：2018年4月3日 18時
