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長い撮影を終えて、暗い夜道を歩く。
「思ったより撮影が長引いたな」
バカなメンバーでバカ騒いでたら、もうすでに3時だ。
いつもの公園の横を通った時。
「…人?」
ベンチに横たわっている何かが視界に入った。
暗くてよく見えないがたぶん人だろう。
こんな時間に公園にいるんなら頭のおかしい人か、帰る場所のない人だろう。
そう思った。
いや待て、
ここら辺にそんな人、いたか?
居ようが居まいが俺には関係ないけど。
…もしあれが、本当に身寄りのない人だったら?
もしニュースで、野垂れ死にした人が報道されたら?
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気づくと、通り過ぎた公園へ足が動いていた。
近づいてみるとはっきりとそのシルエットが見えてくる。
…女性だ!
小走りで駆け寄り、ベンチの脇につく。
寝息が聞こえる。生きてるみたいだ。
春とはいえ、夜はまだ結構冷え込むし
ともかく女性が1人でいるなんて。
「…お姉さん、どうしたんすか?」
声を掛けても反応はない。
軽く肩を揺すって再び声をかけてみた。
「…お姉さん?」
「…ん、…」
薄く目を開けて反応を示した。
けど俺を見るなり飛び退いて震えている。
やっぱり何かあったのか…?
「どうしたんですか、こんな深夜に公園で寝てるなんて…
…しかも1人で」
そう尋ねてみた。まずかったか…?
すると女性は、
「…ちょっと辛いことが、あって」
と、か細い声で呟いた。
「俺でよければ、話聞きますよ」
とっさに口をついて出た言葉。
俺、初対面の女性に何してんだろ。
すると女性は、今まで足元に向けていた目線を
ばっ、と俺に向けてきた。
涙でぐちゃぐちゃになった顔で。
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作者名:. | 作成日時:2018年4月3日 18時