35, 気まぐれ ページ36
「−よく生きてたもんだな麦わら屋。だが、あのときのことを恩に感じる必要はねェ。あれはおれの気まぐれだ」
その"気まぐれ"でどれだけ船員達が危険な目にあったかわかっていないのか…！
少し腹が立って後ろから船長をペシペシと叩く。ハルも同じ考えらしく、尻尾で船長の頭を叩いている。
船長は何も言わずにハルを掴んで私の帽子の上に落として来た。
「ぐへっ」
「おれもお前も海賊だ。忘れるな」
「…ししし!!そうだな"
「…………」
「……相変わらず…」
麦わらさんは海賊に見えない。いい意味で。
「スモーカーさんっ!!!!」
その声と共に先程の女海兵さんを筆頭に海兵さん達が戻ってきた。
白猟屋さんが倒れているのを見て何を思ったのか、船長に向かってくる。
「おいおい…よせ。そういうドロ臭ェのは嫌いなんだ」
そう言って、先程麦わらの一味にしたのと同じように"シャンブルズ"をした。
倒れた女海兵さんと、それを見て騒ぐ海兵さん達に船長は呆れている。
「ルフィ！急げ、ここはヤベェ!!」
「うん!!そうだトラ男!!ちょっと聞きてェんだけど!!」
「…裏口にいます…」
「…研究所の裏へ回れ…お前らの探し物ならそこにある。また後で会うだろう…互いに、取り返すべきものがある。A、行くぞ」
「あ、はい」
船長がそう言うと、すぐに扉が閉まった。
閉まる直前に茶ひげさんが何故か安心したような顔をしていたのが見えた気がした。多分向こうの勘違いだけど…
それよりも
「…私コートの替え持ってたっけ……」
お気に入りのコートに付着した血が落ちなさそうな感じでショックが大きい。
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作者名：和泉 | 作成日時：2019年9月9日 22時
