SnowDrop (ページ29)

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28, 報酬ページ29

「…なんだここは……」

"歌姫"に渡された紙に指定された場所に、指定されたように行けば、武器や乾いた血が付着した紙が散乱した部屋だった。

「…ここはAが文字通り隠れ家にしていた場所よ」

「何があったってんだ…」

シフォンは紙を拾いながら悲しげな顔をする。

「…あの子は吸血鬼と人間のハーフ。だけど、体の作りはほとんど吸血鬼と同じみたいでね、普通の鉛玉とか刀とかは効かないのよ。銀製のものじゃなきゃ"本当の"傷は付けられないの」

確かに、部屋にある武器を詳しく見れば、普通のものではなく、全て銀製のものばかりだ。

「死なないことを良いことに、あの子は"見世物"にされていたのよ。私を含めて何人かの兄弟達はこっそり治療をしてたりしてたんだけど、ほとんどは見て見ぬふりだった。悪魔の実もその見世物の過程で食べさせられたものよ」

「…プリンはプリンでその見た目のせいで辛い目にあっていた。Aはそれを知って、プリンを可愛がってたの。だからプリンはAに懐いてる」

ふと机の上に置いてあった綺麗な紙に目が止まり、それを拾い上げる。

「ある日、Aはこの島を逃げ出した。それは当然よね。ママは血眼になって探したけど、流石は吸血鬼、そう簡単には見つかるはずもなかった…」

「…なるほどな、それが突然他の船の船員として手配書が出りゃ、怒るわな」

紙に目を滑らせると、"ここにある銀製の武器を譲る"こと、"総料理長シュトロイゼンの手記"が置いてあった。

手記に目を通せば、"ママ"の昔のことが書かれていた。

「…おれがママの首を狙ってるのもお見通しってか……」

中々頭の良いやつだと思いながら、口角が上がるのを隠すことなく、報酬を懐に入れた。