25, 隠れ家 ページ26
ハルの能力を使い、無事に地上に着くと、そこから全力で走る。
海岸に向かう途中、まだ兄弟達が私達に追いついてないことを確認して、とある建物に入る。
「……本当に逃げて来るとは…」
その建物内にはベッジさんと数人の彼の部下達。
「あたりめぇだろ！」
「…ほらよ、"鍵"だ」
「…ありがとうございます。おかげで逃げ切れそうです」
ベッジさんから鍵を受け取り、付けていたブレスレットを外した。
「…で、報酬はどうなった？まさかここまで危険なことをさせといて、おれらからも逃げる気じゃねぇだろうな…？」
そう、3日前、ベッジさん達に"頼んだこと"とは
『ハルのブレスレットの偽造と私が付けているブレスレットの鍵の調達』
危険なことは承知の上で、シフォン姉様が押し切ってくれた。
「…まさか、ここまでして頂いてあなた達からも逃げるなんてことしませんよ」
言いながら、4つ折りにされた紙を差し出す。
ベッジさんは受け取りながら、訝しげな顔をした。
「頃合を見てそこへ行ってください。私達が昔"隠れ家"にしていた場所です」
「隠れ家…？」
「…ええ、非道な"見世物"から逃げる為に、私達が作った場所……2日前に確認に行きましたが、私達が使ってたまま残されてましたから、安全でしょう」
「…そこに何があるってんだ」
「……行ってみてからのお楽しみで…」
シフォン姉様が少し悲しげな顔をするのが見えた。
それを振り払うように背を向けて扉を開ける。
「…報酬はそこにあります。ご協力ありがとうございました」
1度深々と頭を下げてから、建物を飛び出した。
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作者名：和泉 | 作成日時：2019年9月9日 22時
