23, 自由 ページ24
「……人が多いわ…」
「ああ、そうだな」
兄弟達が揃うお茶会の会場に入り、例のごとく漏らした独り言は、ハルに呆れたように受け流された。
少しの吐き気を覚えながら指定された席に着く。
「……随分内側の席ね…」
出入口から距離があるこの席は、逃げることは難しそうだ。
それに、"ママの席"が思いの外近い。
「…作戦…って程でもねぇが、話してた通りに行けば大丈夫だろ」
「……楽観的ね…」
「このくらいの方が楽しめるけどな」
「…そう」
ハルはニヤニヤしながら、わざとらしく尻尾を振っている。
少し腹が立ったので頭を軽く叩くと、痛かったのか両手で頭抱えた。
「おや、A！久しぶりだね」
「…っ！…ママ……!!」
微笑ましくハルを見ていると名前を呼ばれ、顔を上げればママの姿があった。
一瞬で血の気が引く。
「かわいいA、よく帰って来たねぇ」
対してママはニコニコと上機嫌だ。
その姿に重くなった口を開く。
「……ママ、話したいことがあるんです」
「おお、いいとも…どんな話だい？」
尚も上機嫌なママに顔が引き攣るのを感じながらそう告げる。
ハルがいつものように肩に飛び乗ったことで、安心感が生まれて体の力が抜ける。
「…私、もう逃げないことにしました」
「はぁ？」
「…正式に、この"ビッグ・マム海賊団"を降ります…!!」
「おれも降りるぞ！」
お茶会の会場全体に聞こえるように大きな声で叫べば、目の前のママを筆頭に、私を敵視する空気が流れ出す。
「…へぇ…おれを裏切るってのかい？」
「…いいえ、海賊ですから…自由に生きるだけです…!!」
「…言うようになったじゃねぇか…!!」
ぐわっとママが顔を近づけて来ながら言葉を発する。
「Stay!? or Life!?」
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作者名：和泉 | 作成日時：2019年9月9日 22時
