19, 味方 ページ20
「……あっさり見つかったわ…」
「…これ逆に罠とかじゃねぇよな…？」
夜、城を探索し始めてすぐに、ブレスレットの鍵が見つかった。
こうもあっさり見つかったので、2人で唖然としてから、鍵を元の場所に戻す。
一緒に、鍵を開けたブレスレットをもう一度付け直す。
「…鍵の位置がこうもあっさりわかるとはな…」
「でも、これで脱出の手立てができるわ」
「ああ、むしろ幸運だったな」
その言葉に頷いてその場を離れる。
そのまま城を出て街を歩く。
「…懐かしいな、昔も夜中こうやって歩き回ってたよな」
「……そうね、今考えたら子供の体には毒よね」
「おれは止めたけどな…あの頃をローに見られたらだいぶ絞られるぞ」
「…んふっ……」
「……あんだよ」
「…ふふっ……いいえ、なんだかんだ船長のこと信頼してるのね」
「…っ…ちげぇよ！あいつは意外とお人好しだって話だ！」
あたふたするハルについつい笑ってしまう。
そんな私を見て、ハルはバツが悪そうに喉を鳴らす。
「…それにしても、街並みも随分変わったな」
「…そうね…でも、そっちの方がいいわ」
「そうだな」
まだ真夜中とはいえないが、遅い時間のため、出歩いている人は僅かにすれ違うくらいだ。
「−A…？」
突然、後ろから声が聞こえた。
ハルも驚いたようで、警戒を示すように尻尾が立っている。
振り返ると、何となく見覚えのある人がいた。
「……シフォン姉様…？」
「……シフォン…？」
ハルと同時にその人の名前を呼ぶ。
私達に名前を呼ばれたことで嬉しそうな顔をするこの人は…
…敵だらけだったこの島で、数少ない味方だった人だ
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作者名：和泉 | 作成日時：2019年9月9日 22時
