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prologue ページ1
"…うっ……えぐっ…"
とある海の真ん中で小さな少女の泣く声が響く
"おいおい、いつまで泣いてんだよ。いい加減泣きやめ"
続けて少し高めの男らしき声が聞こえる
"…だ、だって……"
"だっても何もあるか！せっかく逃げれたのに無駄にする気か！"
男はどうやら少女を泣き止ませそうとしてるらしい
"…で、でも……わたし…"
"じゃあどうすんだよ！このまま死ぬ気か！？"
少女は一生懸命に首を振り、ぐいぐいと服の袖で涙を拭う
"しなない！"
"おう！その意気だ！"
まだ目が赤いまま少女は男−足元の猫に力強く言う
猫も満足気に笑っている
"それでこそおれの主人だぜ！"
"ん！"
少女は頷くが、すぐにそろそろと目線を下げて不安そうな顔になる
"…でも…どこにいけば……"
"そうだな…1回
猫は少女を下から覗き込むように見上げながら得意気に提案する
"…じゃあ……
"北の海か！いいな！"
少女はまだまだ不安気だが、猫は楽しそうに少女の足をペシペシと叩く
"…でも…しらないひとが……"
"……お前は泣き虫よりもまず人見知りを治さねぇとな…"
少女と猫は別の理由だが揃って肩を落とす
"…まあとにかく、北の海を目指すか"
"そうだね"
"海は広いんだ。いつかこんなおれたちでも仲間ができるさ"
気長に行こうぜ、と猫の声が静かな海に響いた。
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作者名：和泉 | 作成日時：2019年9月9日 22時
