最強無敵になんかなれなくていいから神様、いるならお願い【ONE PIECE】 (ページ5)

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《もう戻りはしない日々》３ページ5

「…兄さん、カレアさん、セレストさん、ヘレンさん…っ」

今はもう逢えない、僕の“家族”と呼ぶべき人達
記憶もないほど幼い頃から、つい二年前まで、育ててくれていた人達
二年前に死んでしまった、助けることができなかった、僕の“四人の兄”

「…おや、ヒロさん？いかがなさいました？」
「…ブルック、さん、…少し昔を、思い出しまして」
「ヨホホホ、それはそれは…
…一曲、歌いますか？」
「…ありがとうございます」

トンっ、と足音を立てて立ち上がる

「…では、この曲などいかがでしょう？」
「…あぁ、いい曲ですね、歌詞は…」
「勿論、ありません
本当に嫌な思いをしたときは、メッセージ性の無い曲が一番…」
「…ですね」

そして僕は歌い出す
大きな声でゆっくりと、強く、強く、押し出すように
メッセージ性の無い、歌詞の無い曲
音だけで紡ぐヴォカリーズ
…母音だけの歌唱法

「…ブルックさん」
「はい」
「今日、四月一日ですか？」
「そうですねぇ」
「…ふふっ」
「おや…程々になさってくださいね」
「はい」
「ヨホホッ」「ふふふっ」

今の僕は、四年前の３月29日の夜の兄さんと同じ顔で笑っているのだろう