135 ページ15
個性を使い、記憶にあるなかで一番人気だった猫じゃらしを二つ出した。突然物が出てきたことに驚いた心操に片方渡し、持っている方で子猫達の気を引きながら話し始めた。
「私の個性は『言霊』。記憶にある物を出したりできるんだ」
「…強い個性ですね。ヒーロー科に教えてるってことは、先生もヒーローだと思っていたけど…そんな個性があるならそりゃヒーローになれるか…」
「お前だってヒーローになれるよ」
「は…」
「『言霊』っていうのは言葉に力が込められているんだよ。だから操り人形のように人を動かすこともできるんだ。…お前の洗脳と似たようなものさ」
「…！」
「まあ私の場合、操る系は身体が壊れるからたくさんはできない。それでも色々できちゃうわけだから最初は怖がられた。けどちゃんと結果を出して、今はヒーローとして認められているよ」
「…」
「体育祭以降も頑張ってるんだろ？ならそう自分の個性を悪く言うな。良い個性なんだから」
じゃれていた子猫がとうとう私の猫じゃらしを掴む。大人しく噛られていると、黙っていた心操も猫じゃらしを動かし始めて「ありがとうございます」と呟いた。
「橘先生はヒーローなんですよね？それがコスチュームなんですか？」
「あーいや、私アングラ系だから普段はコスチューム着てないんだ」
「…それ大丈夫なんですか？急な時とか」
「服脱げばすぐに出れるようにはなってるんだ。個性を上手くコントロールして、身体に直接出せば」
「なんか変身するヒーローみたいですね」
「そうそう」
心操はその後もいろいろと聞いてきた。個性のこともだが、自分がもしヒーローになるならアングラ系だと思うから、と。私もそれにできるだけ答えた。そうしているうちに下校時間になり、猫達と別れ校舎の方へと戻ることにした。
「橘先生、今日はありがとうございました」
「何言ってる、こっちの台詞だ。一緒に親猫探し手伝ってくれてありがとうな」
「…先生は本当にヒーローなんですね」
「じゃなかったら何なんだ」
「ヒーローじゃなくても、きっと橘先生はヒーローだったと思いますよ」
その意味を理解して、フッと笑う。そういうお前こそ…
「お前もヒーローになれるよ」
私よりずっと良いヒーローに
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 249人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユキヒメ - めっちゃ面白いです！相澤先生の可愛さとカッコよさどちらも出ていてお気に入りです！更新楽しみに待ってます！ (2021年7月27日 15時) (
レス) id: 68ce7e55eb (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - なんどもすみません！！更新待ってました！！この続きがめちゃめちゃ気になります！もう本当にこの小説面白くて大好きです！続き楽しみにしてます！ (2018年8月10日 23時) (レス) id: 74ed180ca2 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴(プロフ) - ユウさん» ありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです。更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2018年8月10日 1時) (レス) id: 9ef0a88e71 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - はじめましてこんにちは！この作品が大好きで最近はいつも拝見させていただいてます！この作品ほんとーに大好きです！これからも楽しみにしてます！頑張ってください！ (2018年7月9日 1時) (レス) id: 74ed180ca2 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴(プロフ) - 船長 さん» ありがとうございます！更新頑張っていきますので、これからもよろしくお願いします。 (2018年7月8日 10時) (レス) id: 9ef0a88e71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜飴 | 作成日時：2018年6月9日 13時
