第94話 あの時 ページ47
突然、接吻され驚くAの後頭部と体を押さえつけ、お互いの身体を重ね合わせる。ずぶり、と体にAが入ってくる感覚。
最初は不安そうだったAも、大丈夫だよと目を細めれば安心したように俺に体を預けてきた。それを確認し、少し力を抑えAを俺に沈めていく。
元々、無惨様に血を戴いて気分が高揚していたのに加わり、Aが俺の中に入ってきて、体内でどろどろに溶かされ、一つになっていくあの感覚は最高だった。
Aもそうだったに違いない。誰かの特別になる事を望んでいたAは、俺が初めて吸収する相手に選んだ事を伝えたら、幸せそうな表情をしていた。
鬼狩りは、あり得ないという顔をしていた。まあ、普通の人間はそうだろう。───あのガキはまともではないけど。
200人あまりの人間を喰うだけでもかなりの力を付けられるが、それに加えあのガキを殺せば、無惨様にもっと血を戴けて、強くなれる。
そしたら、上弦の鬼に入れ替わりの血戦を申し込める。
上弦の鬼が見下していたはずの下弦に負ける姿は想像するだけで笑えてくる。
強くなればなる程あのお方は喜んでくださるし、Aもきっと俺を心から祝ってくれるだろう。
考える程、楽しみな事は浮かんでくる。それなのに───。
耳飾りの鬼狩りだけでなく、他の鬼狩りも起きてきた。身体の中をちょこまかされるのは気に障る。
中でも恐らく柱である男の斬撃は鋭かった。再生に時間がかかる。それでも、再生する事に変わりはない。
それに引き換え、人間はいつか力尽きる。鬼の娘もいるが、1人で8両全てを守り切るのは無理だ。あの娘は耳飾りのガキの妹だから、目の前に死体を突き出してやったらどんな顔をするのかな?
ああ、でもあのガキの死体はまず最初に無惨様にお見せしたい。そんな事を考えている間に、猪頭が先頭車両まで来た。勘の良い奴だ。
「怪しいぜ怪しいぜ、この辺り特に!」
「何だ、お前は! 出て行けっ!」
車掌が危険を感じて止めようとしているが、それでわかったと引き下がる鬼狩りではないだろう。
あまり性に合う戦法ではないが、頭を握り潰すかもぎ取ってやろうと複数の腕を伸ばす。それを猪頭は2本の刀で切り裂いたが、すぐに俺はまた別の腕を伸ばした。
俺の腕が猪頭に触れた瞬間、伝わる相手の焦り。顔が見れないのは残念だけどこの際どうでも良い。
「水の呼吸 陸ノ型 ねじれ渦!」
だけど、猪頭を握り潰すより先にまたアイツが現れ、俺の腕を切り裂いた。
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ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 黒脛巾さん» 実はきゅんきゅんをイメージして書いていたので、そのように仰って頂けてとても嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月24日 16時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
黒脛巾(プロフ) - めっちゃきゅんきゅんします・・・!更新応援しております! (2021年1月24日 1時) (レス) id: d7d533f63c (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» 本当は夢主視点にしようとしたのですが、怪我しているのに冷静に実況してたらおかしいなって思いまして笑。嬉しいコメントありがとうございました! (2021年1月14日 19時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» いや魘夢視点なんて素敵すぎじゃないですか (2021年1月14日 19時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» 包帯無駄遣い装置さん!ありがとうございます!魘夢様が素敵と仰って頂けて、書いている私としてはもう本当に幸せです!応援ありがとうございます! (2021年1月14日 18時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
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