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第79話 それぞれの好み ページ32

「そうねぇ。それに、この娘は綺麗とは違うけど、結構可愛い顔してるから美味しそうじゃない」

堕姫様も人差し指を口元へと当てながら、色っぽく舌舐めずりする。獲物を狩るような目は怖いのに、彼女がするととても絵になっている。紅が塗られた唇が美しい。

「お前は好き嫌いが激しいからなぁ……。まあ、妹が賛成なら俺も文句はねえなぁ。下弦の奴らはどうだぁ?」

いつの間にか堕姫様の隣に立っていた男の人が、下弦の鬼様方に問う。妹、という事は堕姫様のお兄様なのだろうか。数ヶ月前に会った炭治郎君達の記憶がふと蘇る。

「…………」

「わ、私は妙案だと思います!」

「同じく」

無言の魘夢様を横目に、轆轤様、病葉様が即座に答える。

「私もこの娘が良いなら」

零余子様がちらりと私を見ながら仰った。冷や汗をかいて少し怯えた表情をしている。鬼からしたら人間はただの食べ物のはずなのに……。少しほわほわしてしまう。

「僕も合わせます」

累様も頷く。轆轤様方には少し失礼だけど、この方は下弦の中でも少し別格の雰囲気を漂わせている。

「私も貴方様方に従いますっ」

釜鵺様が声を張り上げた。下弦の陸である彼の言葉に黒死牟様は、視線を私へと移す。

「お前は……どうだ……」

黒死牟様の瞳が最後に私へと向けられた。人間である私に、食べて良いのか聞いてくれるのかと驚きつつ、首が飛ぶ覚悟でなんとか口を開いた。

「私……食べられたくない、です……」

数名の視線が少し厳しくなる気配がする。思わず俯く私に救世主が声をかけた。

「Aちゃん、それではいくらなんでも言葉が足りないよ」

首を傾げ、手を顎に当て少し困った笑顔を浮かべる童磨様に視線が集まった。それに気付き、童磨様は少し前に出て話し始めた。

「Aちゃんは魘夢君が好き。だから食べられて彼の身体の一部になりたいのであって、鬼に喰われるのが好きな訳ではないだろう? 俺達喰う側に好みがあるように、きっとAちゃんにも喰われる側の好みがある。それをしっかり伝えねばならないよ」

当たらずとも遠からずな事を仰る童磨様。手を自身の胸に当て、慈愛に満ちた聖母のような表情で私を眺めている。

喰われる側の好みとは一体……。全員が思っただろうけど、上弦の弐に対して口答えするものはいなかった。黒死牟様は少し呆れたご様子だ。

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ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 黒脛巾さん» 実はきゅんきゅんをイメージして書いていたので、そのように仰って頂けてとても嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月24日 16時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
黒脛巾(プロフ) - めっちゃきゅんきゅんします・・・!更新応援しております! (2021年1月24日 1時) (レス) id: d7d533f63c (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» 本当は夢主視点にしようとしたのですが、怪我しているのに冷静に実況してたらおかしいなって思いまして笑。嬉しいコメントありがとうございました! (2021年1月14日 19時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» いや魘夢視点なんて素敵すぎじゃないですか (2021年1月14日 19時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» 包帯無駄遣い装置さん!ありがとうございます!魘夢様が素敵と仰って頂けて、書いている私としてはもう本当に幸せです!応援ありがとうございます! (2021年1月14日 18時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぶるうべりぃ♪ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2021年1月13日 18時

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