第63話 兄妹 ページ16
昨日の戦いや今まで魘夢様がお食事する様子を見てわかった事がある。鬼が人を食べるという事は、ずっと長く続くはずだったその人の道がそこで途絶えてしまうという事。
辛い、魘夢様にだって、鬼狩りにだって、他の人にだって死んでほしくない。だけど、そんなのどう考えたって無理なのだ。
「確かに、鬼の被害をくいとめる為にも俺は貴女から情報を聞き出さなくてはならない……。昨日、この辺りの町で十二鬼月が複数現れたという報告があって、人間の娘も一緒だったと聞きました。貴女の事ですよね？」
射抜くような真剣な瞳が向けられる。
「……はい」
確信は持てないけど、恐らく間違いではないだろう。やっぱり……、と言いたげな視線が向けられる。
「鬼殺隊の中で、鬼の頸を切る事は前提として貴女の事についての話し合いも行われました……。鬼に囚われているなら助けるべきという意見も、もし鬼に与しているなら一般人とはいえ厳しい意見もあったそうです……」
そこまで言って炭治郎君は一度言葉を切る。そこにあったのは、例えるなら……鬼狩りとしての顔ではなく、ひとりの人としての顔だった。
「だけど、俺は……こんなに悲しそうな匂いのする人を放って置けないっ」
泣きそうな顔で少年が私を見つめてきた。泣きたくなるような優しい雰囲気に、目に涙が浮かぶ感じがする。
かたん、そんな音がして彼の背負う道具箱から女の子が飛び出してきた。竹を咥えているのが印象的だったけど、その後の彼女の行動はもっと驚きだった。
「……へ」
突然、女の子が私を片手で抱き寄せ、もう片方の手で私の頭をまるで労るように……お母さんが子どもを可愛がるように優しく撫でた。おでことおでこがくっつけられる。
溺れてしまいそうな慈愛に我慢していた涙が溢れる。温かい、溶けてきまう程温かい。私はこの子達より年上なのに、不甲斐ない。
「……俺の妹の禰豆子です。鬼舞辻によって鬼にされました。急に抱きついて驚かせてしまってすみません……」
悲しそうな笑顔を浮かべながら、炭治郎君が禰豆子ちゃんの頭を撫でる。そっか、炭治郎君はお兄ちゃんなのか。
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ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 黒脛巾さん» 実はきゅんきゅんをイメージして書いていたので、そのように仰って頂けてとても嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年1月24日 16時) (
レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
黒脛巾(プロフ) - めっちゃきゅんきゅんします・・・！更新応援しております！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: d7d533f63c (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» 本当は夢主視点にしようとしたのですが、怪我しているのに冷静に実況してたらおかしいなって思いまして笑。嬉しいコメントありがとうございました！ (2021年1月14日 19時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» いや魘夢視点なんて素敵すぎじゃないですか (2021年1月14日 19時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» 包帯無駄遣い装置さん！ありがとうございます！魘夢様が素敵と仰って頂けて、書いている私としてはもう本当に幸せです！応援ありがとうございます！ (2021年1月14日 18時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
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