第49話 鬼なら誰でも ページ2
右手で触れていた襟をそっと引っ張られ、着物が着崩れる。留まっていた温かい体温が外へと抜け、代わりに冷たい空気が入ってきた。
右の襟を肩の方まで脱がし、露わになった肩を撫でながら、魘夢様は呟くような声で久しぶりに言葉を発した。
「……Aってさ、相手が鬼なら誰に喰われても良いと思ってるの？」
言いながら肩に顔を近づけ、そっと匂いを嗅ぐ気配がした。少しくすぐったいけれど、笑える雰囲気ではない。
「……え？」
そんな事を考えた事はなかった。慌てて魘夢様の方を見ようとしたけれど、両腕を掴まれていて身動きが取れない。
「さっき、上弦の鬼が食べると言っても抵抗しなかったよね？」
柔らかい感覚───魘夢様の唇が肩に触れた。魘夢様の声以外何も聞こえない空間に緊張が走る。ぞわぞわと鳥肌が立つ。
確かに先程、童磨様に食べられると言われても私は抵抗しなかった。抵抗するなんて場違いだし、あってはならないと思っていた。
だけど魘夢様の───食べられると約束した魘夢様からしたら、それは失礼に当たるのかもしれない。
嫌だな、私。魘夢様にだけは嫌がられる事はしたくなかったのに……。謝りたい。だけど、私が口を開くより先に肩に痛みが走って遮られてしまった。
「……あっゔっ」
魘夢様の尖った歯が私に突き刺さり、それを追って前歯やそれ以外の歯がずぶずぶと食い込む。
林檎に噛み付いた時のように血が溢れ、魘夢様の口の中へ流れ込むのを感じる。ごく……、ごく……、と静かな家の中に血を飲む音が響く。
痛い、すごく痛い。だけど、魘夢様に誤解されたまま死んでしまうのは絶対に嫌。なんとか痛みを堪え、彼の名を呼んだ。
作者から
文字数と次の話の都合の関係で今回は話が短くなってしまいました…。申し訳ないです…。
次回は魘夢様視点の話を更新する予定なので、楽しみにしていてくださると幸いです！これからもこの『魘夢様に堕ちる』をよろしくお願いします！
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ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 黒脛巾さん» 実はきゅんきゅんをイメージして書いていたので、そのように仰って頂けてとても嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年1月24日 16時) (
レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
黒脛巾(プロフ) - めっちゃきゅんきゅんします・・・！更新応援しております！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: d7d533f63c (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» 本当は夢主視点にしようとしたのですが、怪我しているのに冷静に実況してたらおかしいなって思いまして笑。嬉しいコメントありがとうございました！ (2021年1月14日 19時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» いや魘夢視点なんて素敵すぎじゃないですか (2021年1月14日 19時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» 包帯無駄遣い装置さん！ありがとうございます！魘夢様が素敵と仰って頂けて、書いている私としてはもう本当に幸せです！応援ありがとうございます！ (2021年1月14日 18時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
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