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第6話 俺にとっての ページ6

魘夢視点

目の前の娘は俺の言葉に明らかに落ち込んでいる。わかるよ、俺にも。俺だって死ぬならあの方の……無惨様の手によって死にたい。

この娘が自分は誰かの大切な人には入っていないという話をしている時の表情は最高だった。必死に感情を制御しようとしていたけど、隠しきれない悲しみが見え隠れしていた。

それとは、反対に俺は溢れ出る幸せを一切隠さず娘の話に聞き入っていた。普通の人間は不幸な話をしているのに、幸せそうな表情をする俺に嫌悪の情を露わにしていた。

その感情がなんともまた心地よかったのだけど、この娘は違った。少しだけ……ほんの少しだけど笑ったのだ。

こんな事は初めてだった。いや、嫌われ者の俺を受け入れてくださった無惨様以来だ。嫌われている事を気にした事はなかったし、むしろその剥き出しの嫌悪が好きだったのだけど、この娘の表情も悪くない……気がした。

ああ、きっとこの娘にとっての俺は、俺にとっての無惨様みたいなものなのだろう。いや、それは無惨様に失礼か。考えながら、俺は『でも』と言葉を続けた。

「今は喰わないけどその内喰ってあげる。俺が君の大切な人になってあげるよ。まあ、俺は鬼だけれどね。俺も君に興味があるから他の人間より大切にしてあげるよ」

感情を押し殺そうとするこの娘の最大限の不幸な顔を引き出したい。そして信頼している俺に喰われるのはやっぱり裏切られたと感じるのか、それとも喜ぶのか興味がある。

「あ……、ありがとうございますっ」

「そう言えば、名前を聞いていなかったね」

ふと、思い出し名前を聞く。鬼になってからは自分から誰かに名前を聞く習慣なんてなかったから忘れていた。

「私は月宮Aです。よろしくお願いします」

言いながら娘は頭を下げた。それに返事をする様に俺は笑顔を返す。

「そう。俺は魘夢。これからよろしくね、A」

普段は人間の名前なんて聞かないし、俺の名前を教えてたりもしない。だってどうせ喰うのに名前を教え合う必要なんてないでしょう? だけど、この娘の───Aの名前は知っておいた方が今後楽だと思ったから聞いただけだ。

俺に名前を呼ばれた時、Aは何故か驚いた表情をしていたが、今は他にやる事がある。

「俺はその辺の人間を喰ってくるから、そこで待ってて」

立ち上がり、廊下を挟んだ向こう側の座席に座る男の前に俺は立つ。Aがこちらを伺う気配がしたので、そちらに笑顔をした。

第7話 冷たい背中→←第5話 平等



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包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» ですね! (2021年1月10日 21時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» そうなんですよね!ムキムキ過ぎないところがまた素敵なんですよね!(続きはこみゅーの方にてお話しましょう!) (2021年1月10日 21時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» 特に映画の上半身裸になっているとこ((((悪夢見せてあげようか?by魘夢 (2021年1月10日 21時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» そう仰っていただけて、嬉しいです!映画の魘夢様も、原作の魘夢様もすごく可愛いですよね!コメントありがとうございました! (2021年1月10日 12時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - やだ魘夢可愛いすぎ (2021年1月10日 2時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぶるうべりぃ♪ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2020年11月27日 22時

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