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第44話 嫌な事から ページ46

鬼狩りは立つだけでもやっとなのか、手足はがくがくと震えている。

「だけど俺は……その娘が殺されるとわかっていて無視する事はできないっ、したくないっ」

猗窩座様を燃えるような瞳で見つめながら鬼狩りが言葉を紡ぎ出す。

「その娘が死んだらきっとたくさんの人が悲しむ……。そんなの駄目だっ」

鬼狩りの言葉に頭から冷水を浴びせられたような気持ちになった。私が居なくなって悲しんでくれる人はいるのかな……?

旧友とも先程、縁を切ってしまったし、特別仲が良い人がいる訳でもない。勿論それは今まで私が勝手に恐怖を抱いて距離を置いてしまったのもあるけれど。

それに私は鬼に食べられる事に抵抗があるわけではない。

それでもこの鬼狩りは私は大切にされていると信じて、私を助けようと命をかけて戦っている。その事がたまらなく申し訳なかった。

力一杯刀を振るう鬼狩りが技の名前を叫ぶ。猗窩座様もそれに応えるように技の名を呟いた。先程と同じく私には何が起きたのかさっぱりだったけれど、一つ確実に理解できた。

あの鬼狩りは負けてしまう。私なんかに会ったせいで死んでしまう。どうしよう、そんなの嫌なのにどうすれば良いかわからない。

私も猗窩座様と戦う? いや、戦ってどうする。恐怖と後悔で頭がおかしくなるのを感じる。

「……A? 泣いているの?」

「……えっ……と」

隣の魘夢様から声をかけられ、驚いて無意識に瞬きをすると涙が零れ落ちた。

彼の方へ視線を向けるとどこか嬉しそうな笑みが口元に浮かんでいた。その瞳が獲物を堪能する様に細められる。

「やっぱりさ。Aも根は人間だよね」

ポケットからハンカチを取り出し、私の頬をとんとんと軽く抑えながら魘夢様が言った。なんと答えて良いかわからずただただ俯く。

すん、と鼻から息を吸うとふわりとハンカチからは魘夢様の香りが漂ってきた。こんな時なのに、その香りにどうしようもなく安心してしまう自分がいる。

「ずっと、見てなくても良いんだよ? 嫌な事なんて目を逸らしちゃえば良いんだから」

魘夢様が私の片手を取り、ハンカチを握らす。目を逸らしちゃえば良い、初めて言われた言葉だった。

第45話 逃げちゃえ→←第43話 大きい花火と小さい花火



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包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» ですね! (2021年1月10日 21時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» そうなんですよね!ムキムキ過ぎないところがまた素敵なんですよね!(続きはこみゅーの方にてお話しましょう!) (2021年1月10日 21時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» 特に映画の上半身裸になっているとこ((((悪夢見せてあげようか?by魘夢 (2021年1月10日 21時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» そう仰っていただけて、嬉しいです!映画の魘夢様も、原作の魘夢様もすごく可愛いですよね!コメントありがとうございました! (2021年1月10日 12時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - やだ魘夢可愛いすぎ (2021年1月10日 2時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぶるうべりぃ♪ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2020年11月27日 22時

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