第41話 炎 ページ43
「俺とこの猗窩座殿は目に数字が刻まれているから、わかると思うけど、俺の隣にいる彼女も上弦の一人だよ? それでも立ち向かうのかな? 柱でもない君じゃ勝てないだろうに」
童磨と呼ばれた鬼が悲しい表情を作り、首を傾げる。そんな言葉で俺が諦めると思っているのだろうか? 腹立たしい。
鬼殺隊に入った時から俺は死を覚悟して来た。相手が上弦であろうと鬼舞辻無惨であろうと俺は決して逃げたくない。
「だからなんだ。俺はお前達から逃げるつもりは一切ない」
「……だ、駄目ですっ」
俺の言葉に娘が意を決したように、叫ぶ。鬼共の心配をしているのはだろうか? それとも俺の心配か? どちらにせよ、悪鬼を滅殺する事に変わりはない。
娘の方を鬼共が振り返り何か話しているが、俺の所だと距離があって聞き取れない。代わりにある声が聞こえた気がした。
『心を燃やせ』
暗闇のどん底にいた俺の心に炎を灯してくれた師範の言葉だ。師範は俺と対して歳が変わらなかったのに、すごい人だった。その師範の顔に泥を塗るような事は絶対にしない。
「行くぞっ!」
右足を後ろへ引き、左足を曲げ重心を整える。俺の掛け声に鬼共は再び視線をこちらへ戻し、それぞれが臨戦体制になった。
師範程上背がなく、力もない俺のために師範が考え出してくださった技。
「炎の呼吸、終ノ型 鼠花火!!」
思い切り地面を蹴り、身体を俺は鬼達に斬りかかった。
A視点
町外れに移動し、鬼狩りの方と向かい合う。猗窩座様が最も彼に近い位置に立ち、童磨様と堕姫様はその少し後ろ。魘夢様はその後ろに立っていたので、私は迷いつつ魘夢様の隣に立った。
「おい、悪鬼。その娘を逃がせ。俺がお前らの相手をする」
鬼狩りの方の言葉にはっとする。この方は私を助けるために戦おうとしているのだ。そんな事実に今更ながら気づく。
だけど、私がそれに答えるより先に童磨様が先に口を開いた。
「この娘はねぇ、ここにいる魘夢君と恋仲でね。最終的には、魘夢君が喰べる約束になっているんだよ」
言いながら、魘夢様と私を見下ろす童磨様。とてもぴりぴりした空気にも拘らず、屈託ない笑顔を浮かべている。これが上弦の余裕なのかな。
作者から
長い間、Aちゃんではなく、オリキャラ視点の話にお付き合い頂き、ありがとうございました! 次回からはまたAちゃん視点に戻ります!
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包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» ですね! (2021年1月10日 21時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» そうなんですよね!ムキムキ過ぎないところがまた素敵なんですよね!(続きはこみゅーの方にてお話しましょう!) (2021年1月10日 21時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» 特に映画の上半身裸になっているとこ((((悪夢見せてあげようか?by魘夢 (2021年1月10日 21時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» そう仰っていただけて、嬉しいです!映画の魘夢様も、原作の魘夢様もすごく可愛いですよね!コメントありがとうございました! (2021年1月10日 12時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - やだ魘夢可愛いすぎ (2021年1月10日 2時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
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