第12話 優しい言葉の裏 ページ14
「あと、なんで家がわかったか、だったよね?俺は人間達の過去も夢を通して見ることができるんだ。なんとなくだけどね。だから君がこの辺りに住んでいる事がわかったんだよ」
「え、それは少し恥ずかしいですね……」
なんて事なさげに仰る魘夢様だけど、知らない間に全て知られていると思うと恥ずかしい気持ちでいっぱいになる。
「どうして? どうせこれからもっと知る事でしょう?」
「ごもっともですけど……」
あまりにも当然のように返され、私が間違っているのかと恥ずかしくなり着物の袖で顔を隠す。何を言っても理解して頂けない気がしたが、不思議と不快ではなかった。気付くともう家の前まで来ていた。
「あの、ここまでありがとうございました。他にも色々……。それでは失礼しますね」
引き戸の前に立ち、一度魘夢様と視線を合わせてから頭を下げる。顔を上げると魘夢様が何かを思い出したように口を開いた。
「そうだ、A。Aはいつか俺に喰われるよね?」
「……魘夢様が嫌でないなら」
魘夢様の言葉に私は不安を込めて答える。私の表情を疑問に感じたのか魘夢様は少し真顔になった。
「あれ、やっぱり怖くなったの?」
「いや、そうじゃなくて、えっと……」
先程までの柔らかい表情とは違い今は無表情に近く、何を考えているのか読み取れない。
「あの……、ここで嬉々として答えたら、すごく変態みたいで、魘夢様に引かれてしまうのではないかって……」
魘夢様に嫌がられるのは少し悲しい。視線を足元へと落とした私の頭に魘夢様はそっと手を乗せた。自然と視線が彼へと上がる。
「俺はそんな事で引いたりしないよ。それも含めてAだから。そういうAだから、俺は興味を持ったんだよ」
「魘夢様……」
傍からしたらなんとも優しげな言葉だが、全てを知ったら一般の人は異様な目で私達を見るだろう。だけど、私はそんな彼に惹かれてしまっている。どうしようもない程に。そんな私に満足したのか、魘夢様は優しく微笑んだ。
「俺はAがどんなに嫌がっても喰う予定だから安心するといい」
彼の言葉が聞こえたのだろう。近くを通り過ぎた人がギョッとした顔でこちらを振り返った。その後関わりたくない、とでも言うように走り去る。まあ、それが当たり前かもしれないけど。
その人が逃げて行った方向を一度見て思わず苦笑いをする。魘夢様も同じように笑っていたが一つ違うことといえば、滑稽なものを見ているような笑いである事だった。
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包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» ですね! (2021年1月10日 21時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» そうなんですよね!ムキムキ過ぎないところがまた素敵なんですよね!(続きはこみゅーの方にてお話しましょう!) (2021年1月10日 21時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - ぶるうべりぃ♪さん» 特に映画の上半身裸になっているとこ((((悪夢見せてあげようか?by魘夢 (2021年1月10日 21時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるうべりぃ♪(プロフ) - 包帯無駄遣い装置さん» そう仰っていただけて、嬉しいです!映画の魘夢様も、原作の魘夢様もすごく可愛いですよね!コメントありがとうございました! (2021年1月10日 12時) (レス) id: 69ebf7d565 (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄遣い装置(プロフ) - やだ魘夢可愛いすぎ (2021年1月10日 2時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
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