３３話 ページ34
─マルコside─
イゾウとノースの飲み比べは宴の注目の的になった。
ウチじゃイゾウは酒に強い方で朝まで飲むような時でしか酔った姿は中々見ない。本人も抑制してるしな。
正直ノースが飲めるような奴には見えなかった。エースは酒より飯で、あまり飲まない。双子なら体質が似てても不思議じゃねェからな。
だから目の前で頭を抱えてるイゾウとその背を撫でるノースの姿に大半のクルーが驚いてる。
「ハハッ、完全に潰れたな。イゾウがこんなになってんの初めて見たぞ！」
「エース、揺らすな...」
『イゾウさん、お水飲めます？』
「あァ、悪い」
両者とも５０杯近く飲んでる筈だ。イゾウが潰れてもおかしくない。現に酔っていた程度が顔を青くして明らかに泥酔状態だ。
ノースは顔色一つ変えずにケロッとしているのに。
サッチの料理も食べながら飲んでいた。見た目に合わず相当食べられる所はエースと同じらしい。
こんだけ強けりゃ飲み比べで負けることはねェだろうよ。オヤジの酒を止めといて自分が飲んでんのは気に食わねェがな。
「ノースは酔ってねェのか？」
『どうもないなぁ。まだまだ飲める』
「これはイゾウの完敗だねぃ」
『まぁ、今回はただのお遊びですから。賭け事もついでです』
「ちぇ...おれノースの能力見たかったのになァ」
『よしきた』
エースの呟きに腕をまくって意気込むノースは相当な兄バカらしい。おれへの態度も大分マシになったが天と地の差だな。
見てて、とノースが人差し指を立ててくるっと回す。宙に水泡が舞って一匹の水で出来た金魚が現れる。
おれたちが啞然としているのも気にせず金魚はノースの周りを一周して空に飛んで行った。
パチンッ。ノースが指を鳴らすと同時に空で金魚が弾け飛ぶ。降って来たのはただの水だった。
『これが水魚と水風船って技です。あ、先に何の能力か言っといた方が良かったですね。私は"ミズミズの実"を食べた全身水人間です』
「ノース、おもしれェもん食ったなァ。息子たちは頭が追い付いてねェみてェだぜ」
『ただの水ですけどねー』
「だが、ロギアだろォ。制御も出来てるってのに海軍相手に隠し通したのか？」
『能力に頼るまでもなかったので、わはは』
「グララララ...ひよっこが、生意気だなァ」
談笑してる二人が不思議で仕方がねェ。
今まで戦闘に能力を使わなかった？ウソだろ、あの威力でか？
この距離だから助かっただけで至近距離であの破裂が起きれば体に穴が開くぞ。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
