３２話 ページ33
─ノースside─
「エース、お前なんて顔してんだよい」
「だ(って)、え、お(前)、は(つ恋)...？？」
『言葉足らずにも程があるな。初恋って言っても幼い頃だよ。エースだってマキノさんが初恋でしょ？』
「あぁ、そういう...ってちげーよ！！マキノはそういうんじゃねェ！！」
『ちっちゃい子特有の大人に対する憧れだもんねー。顔赤くしてたエース可愛かったなぁ』
「ちょっとお前黙れ！！」
『(笑)』
揶揄う対象がエースに移ったのを横で笑いながらお酒を注ぎ足した。
エースが白ひげ海賊団に入ったって聞いた時はそりゃもうびっくりしたけど、安心した。エースは自分の意志じゃない限り誰かの下についたりしないから。
実際にエースやオヤジさん、クルーに会ってもっと安心した。父さんのことは知らないんだろうけど、エース自身を知ってくれてる人がこんなにいるから。もしもの時が来たとしてもきっと大丈夫。
半年。エースに会う為に仕事に没頭した期間。仕事を離れる期間。
エースが２番隊隊長になった期間。
もうホントびっくりしたもんね。先月には隊長になったらしいじゃん。忙しすぎて把握してなかったわ。
想像以上にエースの存在が大きく広まってるんだよなぁ。嬉しいけど、困る。エースのファンが増えてしまう。えー、ファンクラブ出来たら私会員入ろっかな。マウント取れちゃうな。
「隣いいか？」
『もちろん。飲み比べします？』
「あァ、そのつもりで来た」
『賭け事は決まりました？』
「そうだな...おれが勝てばお前さんの能力を披露して貰おうか」
『そんなことでいいんです？』
「エースも能力については少ししか知らないと聞いたからな。十分価値があるさ」
確かに能力の詳細は誰にも言ってないな。チラ見せくらいはあったけども。
そんなこと賭けなくてもここの人たちなら見せるんだけどな。教えないのは海軍(一部除く)と嫌いな奴と信用してない人間だけだ。
それ以外の人なら聞かれたら教える。"ウミ"との"約束"ももうない。
まだ人と接触するのは避けちゃうし、あの表情も慣れないけど。
自分の能力は気に入ってる。弱点の海はウミがどうにかしてくれるしウミが私に食べさせただけあると思う。
「お前さんは？おれの何が欲しい？」
『んー...じゃあ、イゾウさんの銃の腕前を見せて下さい』
「そんなことでいいのか？」
『相手の実力を知っておくのは大事ですから。ま、負けませんけどね！』
「ふっ、おれも負けるつもりはないな」
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
