１６話 ページ17
原作より1年前・ノース(19)
─軍曹ちゃんside─
ガチャッ
『ん、』ﾊﾟﾁ
「あ！また家にも帰らずにここにいらしたんですか！？」
『軍曹ちゃんだ、おはよ。あー、身体イターイ』
「おはようございます。そんなとこで寝ても疲れは取れないですよ、せめてソファで寝て下さい」
『うん、心配ありがと。シャワー浴びてくるけど急ぎの連絡とかある？』
「特にはありません」
『ん。すぐ戻るから』
「...はい」
私は彼女の付き人なので基本的に同じ所にいます。そもそも中将に付き人がいること自体特例なので上司の部屋に無断入室は許されていません。私は普段中将の出勤時間よりも早めに入るようにしているので許可を取ることがないのです。
ですが、最近の中将は少しおかしいのです。元々仕事をしっかり熟すとても真面目な方なのですが放浪癖というか、突然いなくなることが多々ありました。それが最近になって全くないのです。忙しくなったのは事実なのですがそれでも仕事に没頭して今日みたいに本部に泊まる日が続いています。
「今日は一段と目覚めがよろしくなかったな...」
ドアを開けた時に見えた中将の表情はとても疲れていました。私が声を掛けた時にはいつもの表情に戻っていましたが、目の下の隈は隠しきれません。よく眠れなかったのだと思います。机の上に大量にある書類は既に７割程が確認修正がされています。これらのほとんどが締め切りまで日数があるものです。
一つだけ、心当たりがあります。机上の書類に埋もれている一枚の手配書。"ポートガス・D・エース" ノース中将の実の兄で、現在、白ひげ海賊団のクルー。この情報が海軍に入った時期です、中将が今のような生活を送るようになったのは。どれだけ休息を取ってくれと言っても聞き入れてくれません。おじい様であるガープ中将に相談もしましたがどうにもならないと言われてしまいました。
────────────
『ごめんね、遅くなった』
「２０分程しか経ってませんよ。何かありました？」
『シャワー後にスモーカー大佐に捕まって逃げるのに時間かかっちった』
「何かお話があったのでは？」
『んや、寝ろって仮眠室に連行されそうになっただけ』
「連行されてくださったら良かったのに」
『まさか。軍曹ちゃんを一人になんてできないよ。さーてと、今日もがんばるかな〜』
頑張らないで下さい、なんて言えません。きっと困らせてしまうだけです。それから、笑って謝るんでしょうから。
▽
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
