１５話 過去� 治� ページ16
─ノースside─
『じーちゃんのうそつき...おとなりいてねって言ったのに』
船が港について海軍本部にとーちゃくした。じーちゃんと手つないで歩いてたのに頭もふもふの人がおこりながらじーちゃんの耳ひっぱってどっか行っちゃった。じーちゃんが何か言ってたけど「うるさいわ！！」ってもふもふの人が大きい声出したから聞こえなかった。どーしたらいーか分かんなくて立ち止まってたら周りにだれもいなくなった。エースがいたら、一人じゃなかったのに。
『...来なきゃよかっ「うぉあっ！！」 ？』
「くそぉ、ドジった...あ！！書類！！破れてねェよな...」
うしろから大きな声とどてんって音が聞こえてふり向けば金色のかみの人がこけてた。あと、たくさんの紙も。わたしの所まで紙が広がってる。落ちてるのをひろいながら紙をあつめてるその人に近づいたら目をまん丸にしてこっちを見た。
「え、え？何で子供が？？迷子か？？」
ちがうよ、って言いながら紙をわたせば笑ってありがとうなって頭なでてくれた。名前はロシナンテで、ロシーってよんでいいって。ロシーもじーちゃんと同じコートきてるからきっとえらい人。じーちゃんの名前おしえたらビックリしてた。
「ガープ中将は一緒じゃないのか？」
『もふもふの人につれてかれたの』
「もふもふ...センゴクさんかなぁ。おれも用があるから一緒に行くか！」
『いーの？ロシーいそがしくない？』
「ノースは優しいな〜！気にすんな、ノースを一人にするよりずっといい」
『...うん。ありがとー、ロシー』
優しく笑って頭を撫でてくれるロシーみたいな大人は私の周りに一人も居なかった。じーちゃんは私を愛しい孫だって言ってくれるけどたまに寂しい表情をするのを知っていた。そうさせているのが私たちであることも。
子供でも、私は年相応じゃなかった。はしゃいだり、怒ったり、感情を表に出すのが苦手だった。私が笑えばじーちゃんも笑ってくれるから、笑顔だけが上手になって。
だから、一人でいた時にロシーに出会えて、一緒に居てくれるのがホントに嬉しくて。差し出された手を受け入れてしまった。"あの子"と"約束"してたのに。
「ノース、おまえ、」
再びロシーの手から大量の書類が零れ落ちて、驚いたような訝しむようなその表情が、エースとじーちゃんと同じで、ただでさえ低い体温が更に下がった気がした。重ねた手を引き戻して、ロシーの声に聞こえないふりをして逃げ出した。
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
