１１話 ページ12
─ノースside─
愛想良く微笑めば眉間のしわが深くなった。じーちゃんならこれでイチコロなんだけどな。まぁあれか、孫フィルターか。でもなんだかんだいってセンゴク元帥も私に甘いのは知ってる。ほら、折れてくれた。
「何か策があっての申し出だろうな」
『私も馬鹿じゃないですから』
「はぁ...ノース以外下がっていい」
『申し訳ないです、ちっちゃなことでこんな騒ぎになってしまって』
「帰れんならおれはいーよ。んじゃ、またねノースちゃん」
『青雉さんならそう言うと思いましたよー、ではでは！黄猿さんと赤犬さんもまた！ほら、じーちゃんも下がって』
「なっ、わしもか！？」
『二人で話したいの、ね』
三大将が下がった後でじーちゃんも嫌々ながら下がってくれた。じーちゃん私のお願いに弱いからね。
端に置かれていた椅子を移動させて元帥の正面に座る。下手に出るつもりは毛頭ない。エースの事で私が引き下がる訳がないのだから。海軍の中に私の家族について知る人は一人もいない。じーちゃんと呼んでいるからガープ中将が私の実の祖父だと勘違いしている人は多いかもしれないけども。
「まずは知ってる事を話して貰おうか」
『ポートガス・D・エース、私の実の双子の兄。海に出たのは約一年前。悪魔の実を食べたのはその後。生まれも親も私同様分かってません』
「お前の兄はこの先どうなると思う」
『ルーキーで終わることはないでしょう。一番にはならなくても我々の目に映る範囲には必ず上ってきます。なんたって私の兄ですからね！』
「そう言われて警戒を緩めることは出来んな」
『じゃあ、こうでも言いましょうか』
「...」
『海軍本部中将が海賊になったなんて世間にしれたら...ねぇ？元帥殿』
「ノース、貴様ッ...！！」
どんだけ睨まれても怒鳴られても微塵も恐い訳がない。鼻で笑ってやるわ。
たったこれだけのことで脅しが効いてしまうのは私の過去の功績のおかげだろう。何万の人を救ったか、何千の海賊を潰したか、この人は全て知っているのだから。たった三年で三等兵から中将にまで上り詰めた人間が敵になるなんて脅威だろう。私が海賊になった時、海軍にどれだけの被害が及ぶか考えられない人じゃない。
『何も絶対に手を出すなとは言ってません。他の海賊と同等に扱ってくださいって意味です』
「...ならば、これは契約だ。くれぐれも破ってくれるなよ」
『そちらこそ。この事は他言無用でお願いしますね、朝日を拝みたいなら』
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
