８話 ページ9
─ノースside─
カティくんが斧野郎を宥めて鬼ごっこは終了した。まぁ、今もすごい睨まれてるんだけども。そんな眉間にしわよせたら強面がレベルアップしちゃうよ。自分の眉間を指でトントンと叩いてそれとなく教えてあげれば目を吊り上げて怒鳴られた。なんでだ。
「んで？ノースが来たってことは提供か？」
『うん。廃船場に迫撃砲やら海賊船やらがあるから何かに利用できないかなーと。廃棄するのも面倒だしね』
「そうか。オイ野郎ども！廃船場行って来い！！」
カティくんの命令に素直に従いハウスを出て行く斧野郎含む部下たち。慕われてるんだなぁ。海パン男な上に半分改造人間の割と変人なんだけど。というか海パンは流石にまずくないか？え、取り締まるべき？？いやでも、海パンは昔からだしなぁ。そういうファッションだって言われたらそうなのかって納得しちゃうし。ま、いっか。
「ノースお前外でオレのこと名前で呼んでねぇだろうな？」
『呼んでないよ？市長さんに言われたら聞くしかないし。郷に入っては郷に従え、ってね』
「それなら良いんだがよ...何でこんな自由奔放なガキが中将になったんだか。世も末だな」
『もうすぐ１８だけど？？カティくんがおっさんになっただけでしょ』
「オレァまだ３２だ。ま、祝いぐらいはしてやるよ。ほら」
キンキンに冷えた瓶コーラを差し出されて受け取る。どこから出したんだとか野暮なことは聞かない。目の前でお腹の中から出されたらそういうことだ、うん。人生受け入れることが大事よ。
カキンッ、と気持ちのいい音を立てて乾杯する。中将になったから何だって感じだけど祝われるのは嬉しいからね。
「そーいやお前の兄貴賞金首になってたな」
『そーなの！かっこいいでしょ！』
「オメェはホントに兄貴が好きだなァ。そんなんでよく海兵になったもんだ。何も言わずに出て来たんだろ？」
『エースに言ったら絶対止めて来るからね。弟もいるし。別にいーんだよ。エースが自由に海賊やれるんなら海兵になってサポートしてあげよーと思ってさ。まぁ、他の海賊も結構見逃してんだけど。カティくんたちもね、盗みは犯罪だよ』
「そこは感謝してんよ。お前のおかげでこの街も平穏になったしな」
『私なんかしたっけ。仕事はちゃんとするけど』
「気に食わねェ奴全員ぶっ飛ばしてるくせに何言ってんだ。久々に会ったと思ったらオレの仲間ぶん殴ってたじゃねぇか」
『盗むなら静かにやらないと』
「オメェが言うのか」
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
