４６話 過去�◆治� ページ47
─ノースside─
ルフィを探し始めて３時間くらい経ったと思う。１５匹の水魚の内２匹が戻って来た。どーやら２匹で行動してたらしい。ルフィを見つけたって教えてくれたから案内してもらったら崖に着いた。
この崖はあの橋からしか渡れない。エースがルフィを落としたかな。これルフィじゃなかったらエース人殺しになっちゃうとこだったな。
水魚が谷底に向かって泳いで行ったからその先にルフィがいるんだろーけど下を覗き込んでも暗闇で何も見えない。
耳をすませば谷底から何か聞こえる気もする。試しに小石を落としてみた。２秒ちょっとで音がしたから４０メートル近く深い。飛び降りたら絶対に死ぬやつだ。何でルフィ生きてるんだろ。不思議。
近くに居てくれてる水魚はずっと崖沿いに進んで泳いでる。ルフィが移動してるんだ。この速さだと走ってるっぽい。何かに追いかけられてるのかも。それか怖くてパニックになっちゃったかのどっちか。
とにかく今はルフィのところに行かないと。
パンッ！
大きい水魚は難しい。小さい子を大きくしようとしてもイメージできなくて崩れちゃう。だから私が知ってる、見たことある中で一番大きい子を作る。私よりも大きくて優しくて泳げる子。
『水魚 "ジンベエザメ"』
私が会ったのは子供のジンベエザメだったからそこまで大きくないけど私の２倍はある。海で出会った、群れからはぐれちゃった子。私にはその子の"声"が聞けたからウミにその群れを探してもらって送ってあげられた。お礼に背中に乗せて泳いでくれた優しい子。
水魚は私が作り出したものだから本物にはなれないけど、形、大きさ、泳ぎ方は真似出来る。
水で作られた体だから乗れなくても、その中を泳げる...はず。やったことないから分かんないけど、落ちたら落ちたで何とかなる。
崖に沿うように泳ぐその子に飛び込めば不思議な感覚に襲われる。水中なのに力が抜けない。息が出来る。服と身体が濡れない。泳がなくても水中で浮いてられる。
これはもしかしなくても大成功なのでは。ジンベエザメに谷底まで泳ぐようお願いするとゆっくり崖下に泳いでいく。相変わらず真っ暗だけど、気がするだけだった声がだんだんと確かなものになっていく。
目が慣れてくると前の方に犬っぽい動物に追いかけられてるルフィが見えた。
「うわあ──っ！！たすけてくれー！！」
『ルフィ！』
「！ ノースか！？」
ルフィを追い抜いた所で水魚を解除して谷底に飛び降りた。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
