４４話 過去�◆治� ページ45
原作より10年前・ノース(10)
─ノースside─
『あ、じーちゃんの声する』
「ゲッ、また来たのかよあのジジイ」
『男の子もいるよ。家に向かってるみたい』
「おれは興味ねェ」
『私じーちゃんに会いたいなぁ...エースもいっしょに帰ろ？』
手を握ったら返事はしてくれなかったけど繋いだまま歩き出した。エースは素直じゃないだけですごく優しい。
兄は妹に優しくするもんだってエースは言うけど、兄妹関係なく家族なら、良い人なら、困ってるなら、どんな人でも私は優しくしたいと思っちゃう。ギゼン、なのかなぁ。
頭の中で聞こえてた声が直接耳に届いてだんだん大きくなっていく。じーちゃんの背中が見えたと思ったらエースに手を離された。
なんで、と顔を見れば「いっしょに帰って来ただろ」ってエースが捕まえた動物の上に飛び乗って座った。ここから先には一緒に行ってくれないらしい。近くに居てくれてるからわがままは言えないけど、私はエースにも二人と仲良くして欲しいなぁ。
エースもじーちゃんの宝物だから。あの子はきっと、私たちを受け入れてくれるから。
『じーちゃん』
「おお、ノース！また一段と可愛くなったのぉ〜！！」
『ん"、くるしい...』
いつも通りのぎゅーは毎回ちょっと苦しい。会うたびに可愛くなったって言ってくれるけどそろそろ可愛いの範囲を超えると思う。
ぱしぱし叩いたら放してくれた。ぐしゃぐしゃになった髪を直して男の子の方を向けば目を真ん丸にして私を見てる。じーちゃんが私の頭に手を乗せて紹介してくれた。
「こいつがノース、お前の姉になる奴じゃ。エースはどうした？」
『いるよ、あそこ』
「なんじゃ、帰ってるならそう言わんかい！ルフィ、あいつがエースじゃ。ノースと双子で歳はお前の３つ上。今日からこいつらと一緒に暮らすんじゃ。３人仲良くするんじゃぞ！」
「...ノース、行くぞ」
『うん。じーちゃんまたね』
じーちゃんに手を振ってからエースを追って家に入る。部屋に入ればエースがドカッと不機嫌そうに座ったからその隣に私も座った。
『仲良くしよう？新しい家族だよ』
「おれの家族はノースだけだ」
『血がつながってるから？』
「そんなの関係ねェよ。ノースだからだ。お前は何があってもおれをウラ切らねェだろ。...ウラ切る理由もねェ」
『...うん、そーだね』
また町で何か言われたのかな。不安にならなくても大丈夫なのに。私たちがずっと一緒にいるのに。エースは怖がりだ。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
