３７話 ページ38
─ノースside─
エースを抱えて(お姫様抱っこ)部屋に入った。ベッドに寝かせて布団をちゃんと掛ける。大きないびきをかきながら爆睡してて起きる気配は全くない。
安心して眠れる環境みたいで何より。
それにしても寝顔ホントに可愛いなぁ。お持ち帰りしたい。しないけど。
『〜〜♪』
ベッドのそばに座って鼻歌を口ずさむ。自分でも思ってる以上に気分が良いらしい。もしかしなくてもエースに会えたからだろーな。
昔の面影が存分に残る幼い寝顔が好きだ。母さん似の少し垂れた目も頬のそばかすも、父さんと同じ髪色とじーちゃんの言う似ているところも、私の知るエースの全部が大好きだ。
前髪を分けるように撫でれば顔を背けられた。冷たかったんだろうけどちょっと傷付いたぞ。
それならとエースの手を自分のほっぺに当てる。常人より高いであろう体温が私にはちょうどいい。
エースが目の前にいるだけで結構幸せなんだけど、私よく５年もエースから離れられてたなー。
ルフィに会っても同じことになるかも。まだ海にも出てないけど、きっとすぐに名を上げるだろうから早めに会いに行けそう。
ルフィはエースに会いに来るかな。あの子情勢に疎いから白ひげ海賊団に入ったなんて知らないかも。ルフィは怒ってる？エースみたいに殴られるかな。
じーちゃんはまた怒るだろーな。でもあの二人が海兵にならないなんて昔からじーちゃんは分かってた。それでも言い続けたのは私たちを愛してくれてるから。
私が自分から海兵になるって言った時は驚いてたもんな。じーちゃんがそう言ったのに。まぁ、じーちゃんに言われたからなろうと思った訳じゃないんだけど。
エースたちが海賊になるって言うから、私は海軍を選んだ。立派な正義なんて掲げてないし、持ってない。海兵としての誇りも権力も何一つ興味ない。
私の基準で善悪を勝手に判断して海賊でも見逃したり一般人でも捕まえたりしてるだけ。これは海兵じゃなくてもできる。
全ては家族の為に。自分の為に。
『愛してるよ、エース』
絶対に裏切らない。裏切る理由もない。
熟睡中だから私の声は聞こえてないけど、それでいい。愛を伝えるなら笑顔が良い。
今はちょっと上手に笑えない。エースへの愛しさがキャパを越えてるから情けない表情しかできない。そしたらきっとエースを困らせる。
『ん...ねむ、』
エースの体温が心地よくて、傍に居れるのが嬉しくて、あんなに寝たのにまた睡魔が襲ってきた。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
