67 ページ23
＿Aside
戦場で、毎回違う光景だったけど、 必ず皆が死ぬ光景に私はもう耐えられなかった。
自分がどれだけ無力なのか、自分のせいで何百人と命を落としたか、それを大将達は突きつけてくる。
｢お前が死ぬべきだった｣
｢お前さえいなければこんな事にはならなかった｣
｢お前が悪いんだ｣
ずっとそういった言葉をかけ続けられ、おかしくなりそうだった。
そんな中、振り返ると光が差していた。
そこからは色んな声が聞こえていた。
｢死ぬな｣
｢生きてくれ｣
｢お前が必要なんだ｣
皆の声がした。目の前で死んでいった筈の、彼等の声がする。
｢帰って来い、おれの元に。お前さんがいないとおれは、どうにかなっちまいそうだ。｣
イゾウが、弱々しく笑って手を差し伸べていた。
｢お前がいないと、皆生きていけねェんだ。お前はおれ達の大切な、可愛い妹だからねい。帰って来いよい。｣
マルコさんが優しく笑って私を見ていた。
｢おれの愛する娘は無事か？生きて帰って来い、A。｣
父様が、両腕を広げて笑っていた。
行きたい、そっちに。
何度もやられ、ボロボロに傷付いた身体を引き摺りながら、一生懸命そちらへ手を伸ばした。
私をグイッと引っ張り上げてくれたのは蒼炎を纏う翼。
マルコさんが、迎えに来てくれた。
嬉しくて、涙が溢れた。
長い悪夢から覚めると、目の前で泣きそうな顔をしたマルコさんが、必死に私を呼んでいた。
｢マルコ、さん。｣
私がそう呼べば、マルコさんは一筋涙を零して私を抱き締めてくれた。
｢よかった…！もうダメかと思ったよい。｣
岩場にいる事を不思議に思い問いかけると、海域の伝説について教えてくれた。
一種の呪いのようなものらしい。
そのせいで悪夢を見続け、目が覚めなかったのか。
｢ありがとう、マルコさん。寝ずに飛んで疲れたでしょう？私も飛べそうにないし、船が来るまで寝てて。膝貸すから。｣
｢それはイゾウに頭ぶち抜かれそうだから遠慮するよい。おれはまだ死にたくないからねい。｣
そう言って苦笑いするマルコさんを私の気が済まないと言いくるめ、不死鳥の姿でならと、なんとか寝かせる事に成功した。
翌日、全速力で飛ばして一日早く海域を抜けたモビー・ディック号。
彼等が岩場で見たのは、寄り添って眠る紅と蒼の鳥の姿だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 126人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
哀羅(プロフ) - 六作目も無事に終わり、次はシリーズ第七章！！おめでとうございます！これからも応援してます！この作品に出会えて本当、幸せです。 (2020年10月27日 22時) (
レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 哀羅さん» あ、strawberry moonの6の話ですけどね！？6はもう最後まで書き上げていて、最後の確認中です！まだラストまで辿り着く気がしませんが...。応援嬉しいです♪ それと次回作は密かに下書き作ってあります笑 (2020年10月27日 20時) (レス) id: a0dbe60605 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - ルイさん» えぇぇ！！もうラストがルイさんの中には…あるんですね？！凄い！私なんて新作作って更新スローになってるんで汗羨ましい！もちろんこれからも応援してます！ちなみに今のこのお話が終わったら次何書くか決めてますか？ (2020年10月27日 19時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 哀羅さん» 夢主ちゃんは大切なものを守る為に必死なんですよね...！続編はまだですが、実はラストの構想はほぼ終わってるので、出来れば今日上げたいです！！ (2020年10月27日 18時) (レス) id: a0dbe60605 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 主ちゃん攻めますね…！大丈夫ですか……！！万が一の時のイゾウさんの気持ちが計り知れない……。 (2020年10月27日 16時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨音 | 作成日時：2020年10月13日 1時
