18 ページ19
｢さて、と。クルー達の戦意はすっかり喪失したようね。｣
キン、と音を立てて刀を鞘に納めた紅姫に敵意は感じない。
しかし立っているのがやっとだ。
この女の覇気だ。ビリビリと…刺されているようなそれは、浮かべる花のような微笑みとは酷く似つかわしくない物だった。
まさかこんな女が…覇王色の覇気を体得しているとは誰が思う？
それも、おれが話せる程度に調整されている。
｢戦意が無かろうが容赦はしないわよ。白ひげのシマで暴れるという事がどういう事なのか…分かっててやっていたのよね？落とし前はきっちりつけさせてもらうわ。｣
｢や、やめてくれ！せめて命だけは…！｣
｢あら、私は兄達より非道じゃないわよ。命を奪ったりはしないわ。｣
命乞いをする部下をまたあの氷のような瞳で見下していた。
こちらが見下していた筈だったのに、いつしか逆転していたのだ。
｢紅月流…桜吹雪！｣
※桜吹雪の如く斬撃を飛ばす広範囲技。
まるで舞うような剣技に思わず見入ってしまった。
部下達が悲鳴を上げ倒れていくというのに。
もうおれしか動ける者はいなかった。
｢安心して。手加減はしてる。｣
そう言った女は酷く綺麗な笑みを浮かべていた。
おれは両腕を銃に変え、当たれ、と祈るように弾を連射した。
持てる限りの力を込め、ありったけの弾を女に撃ち込んでいく。
パシュ、と音がするだけで、女の炎の身体から弾はことごとくすり抜けていった。
それでも尚撃ち続けるがちっとも効かない。
ひゅん、と弾丸が空を切る。
息を呑むと紅はすぐ側にいた。
最後におれが見たのは冷えきった青い目と燃え盛る紅い炎だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルイ(プロフ) - さららさん» ありがとうごさいます！コメント嬉しいです！！頑張ります！ (2020年10月22日 19時) (
レス) id: a0dbe60605 (このIDを非表示/違反報告)
さらら - イゾウさん、大好きなんですよ!!頑張って下さい♪ (2020年10月22日 18時) (レス) id: ae27f7bbe2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨音 | 作成日時：2020年10月2日 15時
