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＿イゾウside
オヤジに頼み込んで進路を変えてもらい、あの時に行った春島に来た。
お嬢が倒れ、あの日出来なかった話をどうせならここでしようと思ったからだ。
おれは桜が咲き誇る丘でAを待っていた。
ゆっくり準備しておいで、と先に出てきたのだ。
花冷えの季節なのか結構寒い。
ああ、羽織を持ってくれば良かったな。
そう思っていたら影が落ち、後ろから肩にふわりと羽織が掛けられた。
振り向くと番傘を差したAが微笑んでいた。
いつかの誕生日におれがあげた着物を着て、簪を差して、紅を差した姿。
おれの為に綺麗に着飾ってきてくれたのが分かる。
｢待たせてごめんね。すっかり冷えちゃってる。｣
｢いいさ。…綺麗だな。｣
｢ふふ、ありがとう。イゾウさんはいつだって素敵だけど、今日は特に素敵よ。｣
｢ありがとう。…雪か。｣
｢だから差して来たのよ。雪が降りますよって航海士さんに言われたの。ねえ、すっごく綺麗！幻想的…。｣
彼女の指す方を見れば桜に雪が積もり、本当に幻想的で美しい風景だった。
おれ達は暫くそれを眺め、彼女の手を引き東屋へ向かった。
ベンチに腰掛け、桜を見ていたAを見つめながら口を開いた。
｢A。｣
｢…なあに？｣
名前を呼ばれ僅かに目を見開いたが、すぐに微笑んでこちらを振り向いた。
｢おれはお嬢と付き合って、本当に幸せだった。おれにはお嬢しかいない。お嬢のいない世界なんて考えられない程に、好きだ。どうしようもないくらい、愛してるんだ。年々その気持ちは増していくばかりだ。｣
お嬢はおれの少し震えた手を握り、私もよ、と笑った。
その手を握り返し、言葉を紡いでいく。
｢… 今回お嬢が目覚めなかった時、正直生きた心地がしなかったよ。失いたくないと思った。だから…｣
一度立ち上がり、お嬢の前に跪く。
繋いだ手はそのままにして、懐から渡そうと思っていた物を取り出し開く。
開けた箱の中身はつげ櫛。
その意味が分かったお嬢は目を見開き涙を流していた。
｢愛してる。おれと…結婚してくれるか？｣
｢…っは、い。私で、良ければ。｣
｢Aがいいんだ。｣
｢嬉しい…！ありがとう、本当に。愛してるわ！｣
桜と雪が舞い散る中、おれ達は深く口付けを交わした。
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ルイ(プロフ) - アイズさん» はじめまして！うわぁ...とても嬉しいお言葉ありがとうございます！！これからも頑張りますね！コメント嬉しいですありがとうございました！！ (2020年9月28日 8時) (
レス) id: a0dbe60605 (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！3歳になったお話もほっこりしながら笑ってしまいました！更新楽しみにしています！ (2020年9月28日 3時) (レス) id: aae8577057 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音 | 作成日時：2020年9月25日 12時
