刀 ページ15
私は祖母にもらった小刀を愛用していた。
小ぶりな分何にでも使えるのが便利で、いろんなことに使った。
当然、刀は消耗する。
航海を続ける中、職人に見てもらう機会はそうそうない。
自分でこまめに手入れしていたが、少しずつ傷が目立つようになっていた。
「おぬしの小刀、やはりかなりギリギリじゃったな」
『そうですか…１０年以上、よく頑張ってくれた』
たまを助ける時、動物の牙を小刀で受け止めたのだ。結界でサポートもしたから折れこそしなかったものの、硬い牙に刃は耐えきれず、あちこち刃毀れしてしまった。
祖母にもらった小刀と知り、たまと飛徹は何度も謝罪してくれた。
だが、元よりあの小刀は限界だったのだ。飛徹が刀鍛冶であると聞き、私は１つお願いをした。
―『この小刀を溶かして…新たな刀を打ってもらえませんか』
私の小刀を一度溶かして鉄に戻し、新しい鉄と混ぜて作り替える。ワノ国での戦闘を見据え、"小刀"ではなく"刀"に。
飛徹さんは私の頼みを聞いて、暫し考えてから承諾した。
今、このワノ国で刀を持てるのは侍だけだ。
黒猫の仮面をつけた女、それも戦闘力のある人間が、刀を求めている。
それだけで察するところはあったかもしれない。
彼は何も言わず、鍛刀を引き受けてくれた。
「一度溶かして新たに作り直すのは、時間が必要じゃ。完成までは今暫くかかるぞ」
『えぇ、構いません。あと２週間程で作っていただければ』
「それなら間に合うじゃろう」
ワノ国で飛徹さんに出会えたのは、幸運だったな。
彼が作った他の刀も少し見せてもらったが、どれも名刀。ほぼ"妖刀"と言っていいようなレベルのものもあった。
刃毀れした小刀にそっと触れて、感謝を伝え、飛徹さんに託した。今は、新たな刀との出会いを楽しみにしている。
「黒猫さん！お待たせしましたでやんす！」
『たま、台所へ走ったかと思えば何を…水？』
「綺麗なお水でやんすよ！どうぞでやんす」
『綺麗な…そんな貴重なもの、どこで』
この国の川は汚染され、庶民は安全な水を調達するのもままならない。編笠村も何とか生活はしているが、貧しい村だ。
えびす町とおこぼれ町には、"幻想語り部"黒猫が、語りの練習をしてお礼に食料などを流しているが…。
「"鴉"が来てくれたんでやんす！」
『それはそれは』
「…昨夜、都のほうで出たらしい。明け方には村中に金が撒かれていた」
『成程』
さて、さっさとネタバラシしておこう。
"鴉"の正体は私である。
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とうこ - ここで終わってしまうなんて残念です…続きが出たら嬉しいです (2023年2月6日 1時) (
レス) id: 5dcf8d9424 (このIDを非表示/違反報告)
tc - また読み返してきます！ (2023年2月6日 1時) (レス) id: 5dcf8d9424 (このIDを非表示/違反報告)
天子 - 続き難しいかもしれませんが、がんばってください！ (2023年2月6日 1時) (レス) @page18 id: 5dcf8d9424 (このIDを非表示/違反報告)
たまちゃん - ずっと続き待ってます。 (2023年1月13日 19時) (レス) @page18 id: 5dcf8d9424 (このIDを非表示/違反報告)
柚木崎はるか(プロフ) - 続きが待ち遠しいです！もう一回、最初のシリーズから読み直してきます！ (2022年11月8日 17時) (レス) @page15 id: 56c1ca58cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さやま | 作成日時：2022年10月28日 16時
