彼女の大切な人達 ページ6
ローSide
「…何だ、ここ」
目を開けると、ひたすらに白い空間が広がっていた。
全て終わって、Aを治療して…気絶するように寝てから、記憶がない。
「…夢か」
自分の身体に無数にあった傷も見当たらないから、そういうことだろう。
目が覚める気配もない。
仕方なく歩き進んでみると、声が聞こえた。
「あっ、あの子じゃない？」
「間違いなさそうだ！おーい！」
この空間には彼らと、自分しかいない。
俺を呼んでいるらしい。
顔が見える距離まで近付いて、わかった。
「…Aの…！」
「ふふっ！母でーす！」
「父でーす！やぁ、ローくん！」
「初めまして…」
彼女がいつも持っている、ロケットペンダント。
母親の形見だと言っていた、その写真の姿がそこにあった。
…夢だからな。何でもありだな。
「時間ないから、言いたいことだけ言っちゃうね！」
「え」
「いやぁ、うちの娘どう？いい子でしょ」
「は、あの」
「美人だし強いし、ママ似だよな」
「あら、背が高いし優しいし、パパ似よ！」
全く人の話を聞かない。
この明るさはAの両親で間違いないな。
彼女は人の話はよく聞くけれど、聞いた上でスルーして我を突き通したりする。そういう真っ直ぐさは、両親のどちらにも似ていそうだと思った。
不意に、彼らが視線を伏せる。
「…本当に強い子なの」
「それで…それ以上に、優しい子だ」
「！…はい。知ってます」
「きゃー！知ってますだって！んふふ、そういうとこも好きになったってことかしら！？」
「君みたいなイケメンを捕まえるとは、うちの娘はさすがだな！」
…テンションについていけない。
Aそっくりに笑う彼女の母親と、やはりAそっくりにしたり顔をする彼女の父親。
母親はともかく、父親って娘に近付く男にいい顔しないんじゃないのか…。
俺の心配も露知らず、彼らはあっけらかんと笑っていた。
惚れた女の…それもようやく想いを伝えられた彼女の、両親。
どうしても緊張していた自分が、半ば滑稽に思えてくる。
「でも…優しさは時に弱さにもなるでしょう？」
「心配だったけど…隣に君がいてくれれば、大丈夫だ」
Aから聞いた両親の話は、あまり多くない。
彼らは海賊で、Aは祖父母に預けられていた。
その上、５歳の時に２人は死亡。
過ごした時間は、普通の家族よりもずっと短い。
それでも、彼女は両親を愛していたし、その逆もそうだったのだとわかる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 290人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくり - さやま様の小説いつも楽しく読ませてもらっております。夢小説にハマった最初の小説がこれで…これからもがんばってください！！ (2022年10月27日 17時) (
レス) @page49 id: 5dcf8d9424 (このIDを非表示/違反報告)
wakka(プロフ) - めちゃくちゃすごい好きです、、！！このあとも原作と絡めてずっと書いてくださいと言う悲願がかないますように、、✨ (2022年10月25日 10時) (レス) id: 804d3f4b80 (このIDを非表示/違反報告)
ミスティ - もうめちゃくちゃ好きです！すごい自分の好みドンピシャですwうまく伝えられないんですけど、家族愛というか兄弟愛とか仲間愛？がすごくいいですね！勿論ローさんとの恋愛も！応援しています！体調には無理なさらず、、、！ (2022年10月7日 0時) (レス) id: bd5baed227 (このIDを非表示/違反報告)
あんちょろ(プロフ) - いつも楽しんでます🤗バースデー番外編でちょいと裏も読みたいですね（黙れ変態っ！ (2022年10月6日 18時) (レス) @page12 id: 67b3a9cf2e (このIDを非表示/違反報告)
ボンクラMONKEY ﾋﾟｰﾔの人(プロフ) - え、何だこの めちゃんこ良き作品は。凄い。夢主ちゃんマジ可愛い。結婚式呼んで。 (2022年10月6日 10時) (レス) @page9 id: 7a2b040506 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さやま | 作成日時：2022年10月5日 11時
