眠れない夜は ページ24
夜。甲板に出て、空と海を眺める。
もはや習慣だ。
『…静かな夜。昨日の雹が嘘みたい』
雹と言っても、人間の頭サイズだった。
昨日はそれが降り頻る中を航海していたのだ。
バルトクラブは元々陸のギャングだったらしく、航海士がいなかった。困ったらばあちゃんに聞く、と言って電話していたが、教えられるのは見当違いな知恵袋。
とりあえず私の結界で船を守り、皆で何とか切り抜けたが…割と大変だった。
『まあ…幸い、乗ってるのが規格外な人間達だから…』
問題なく航海を続けられているけれど。
ポケットからビブルカードを出した。
手のひらに乗せると、ジジ…と僅かに動く。
ゾウは、"動き続ける生き物"の島だ。
追いつくにはまだ数日かかりそうだった。
ビブルカードをポケットに戻す。
ふと、慣れた気配を背後に感じた。
『ロー。相変わらず夜更かしね』
「人のこと言えねェだろ」
振り返ると、案の定彼は眉間に皺を寄せていた。
船縁で手すりに凭れかかる。
「大体、あの部屋じゃ寝れる訳がねェ」
『男部屋、どんな感じなの？』
「騒音部屋だ」
『くくっ…成程』
今回は女が私とロビンだけなので、完全に男女で部屋を分けていた。
ローはずっと寝れなくて、ここには医学書もないから暇を潰せず、耐え兼ねて出て来たか。
『少しお喋りする？』
「…なら、お前の話を」
『私？』
「お前は…妙に、俺のことを知っている節がある」
おや。
僅かに焦るが、表には出さない。
私とローはもう２年以上の付き合いだ。
けれどお互いを熟知しているかと言われると、実は違う。
過去については先日たくさん話したが、自らのことを話しまくるタイプではないから。
「根拠はないが…時折そう感じる」
『へぇ…私が、ローのこと大好きだからかな？』
「馬鹿言え」
でも私には、前世の記憶があった。
矛盾や違和感は滲ませないようにしてきたが、何か感じることはあったのだろう。
「その理論なら、俺だって…」
『…お？俺だって？何？』
「…とにかく。お前ばかり知っているのは、不公平だろう」
『ふふっ』
「笑うな」
『ふは、ごめんごめん』
言いかけてやめるのも、その後の言い分も、彼らしい。
どうにも愛おしくて、笑みが零れた。
『じゃあ、ローからの質問に何でも答えるコーナーやる？』
「何だその安直な…まぁいい。何でも答えるんだな？」
『おっと失言したか？』
眠れない、静かな夜。
２人でゆっくり話すには、ぴったりだね。
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さくり - さやま様の小説いつも楽しく読ませてもらっております。夢小説にハマった最初の小説がこれで…これからもがんばってください！！ (2022年10月27日 17時) (
レス) @page49 id: 5dcf8d9424 (このIDを非表示/違反報告)
wakka(プロフ) - めちゃくちゃすごい好きです、、！！このあとも原作と絡めてずっと書いてくださいと言う悲願がかないますように、、✨ (2022年10月25日 10時) (レス) id: 804d3f4b80 (このIDを非表示/違反報告)
ミスティ - もうめちゃくちゃ好きです！すごい自分の好みドンピシャですwうまく伝えられないんですけど、家族愛というか兄弟愛とか仲間愛？がすごくいいですね！勿論ローさんとの恋愛も！応援しています！体調には無理なさらず、、、！ (2022年10月7日 0時) (レス) id: bd5baed227 (このIDを非表示/違反報告)
あんちょろ(プロフ) - いつも楽しんでます🤗バースデー番外編でちょいと裏も読みたいですね（黙れ変態っ！ (2022年10月6日 18時) (レス) @page12 id: 67b3a9cf2e (このIDを非表示/違反報告)
ボンクラMONKEY ﾋﾟｰﾔの人(プロフ) - え、何だこの めちゃんこ良き作品は。凄い。夢主ちゃんマジ可愛い。結婚式呼んで。 (2022年10月6日 10時) (レス) @page9 id: 7a2b040506 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さやま | 作成日時：2022年10月5日 11時
