言霊 ページ46
ドフラミンゴの糸がルフィを狙う。
ルフィは後ろに跳んで避け、その姿にレベッカは目を見張る。
「ルーシー…はっ！！」
『レベッカ、こっちへ！』
「えっ…Aさん！？」
ドフラミンゴの糸はレベッカの方にも及んだが、彼女の背後にAが現れる。
Aが彼女の手を掴み、２人の姿はパッと消えた。
移動したのは、ローとヴィオラのところだ。
「レベッカ！！」
「ヴィオラさん…！？」
『ロー、ありがとう』
「あぁ…」
ローの隣に立ち、Aはその視線の先を見遣る。
ドフラミンゴは街一帯を糸に変え、ルフィを攻撃する。
身体を拘束され、ルフィは防御するが完全には防げない。
腹に糸が刺さる。
「うわァっ！」
「何やらさっきより動きが良くなってはいるが…覇気は本当に戻ったのか！？"ルーシー"！」
吹き飛ばされ、血が流れる。
続けて飛んできた糸はギリギリで避けるが、衝撃がルフィを襲う。
「っ、くそ…！」
「ルーシー！！」
『…』
Aは黙ってルフィを見つめる。
煙と土埃の中、ルフィはゆっくり歩き出した。
動きが歪だ。
ドフラミンゴの糸に操られているのだろうとわかる。
「離せー！！」
「しぶといな…串刺しにでもしてやるか…」
ルフィは、レイリーとの会話を思い返した。
２年の修行の日々。
"ギアフォース"の限界を感じた時、レイリーは「別の方法を考えろ」と言った。
糸の収縮は止まらない。
王の台地にまで迫り、もう逃げ場などない。
「"ギアフォース"！！」
「！？糸を…！」
腕を武装化して姿を変え、巻き付いていた糸を引きちぎる。
ルフィは上空へ駆け上がった。
「俺を相手に空中を選ぶとは、いい度胸だ…！」
『…今だ』
「…A？」
『…最後に、言いたいこと言っとかないとね』
Aは大きく深呼吸した。
訝し気な表情を見せるローにニッと笑い、思い切り息を吸う。
「フッフッ…俺の頭上に立つとは気分が悪い！」
『…ドフラミンゴ！！！！』
「！！」
上空。
地上から聞こえるAの声は、ドフラミンゴとルフィの耳にも届いた。
マイクも通していない、能力の使いすぎで少し枯れ始めた声。
それは不思議と朗々と響き、ドレスローザ国中に届く。
未だ"鳥カゴ"の残る空の下で、"自由"が叫ぶ。
『戦争でお前が言っていた言葉が、私は嫌いで仕方がない！！！』
「！」
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作者名：さやま | 作成日時：2022年9月20日 16時
