見届ける ページ36
鬼哭が回転し、トレーボルの身体の真ん中を切り裂いた。
その裂け目から出て来たのは、トレーボルの身体。
奴はベタベタで大きく見せていたが、実際には瘦せ細っていたのだ。
その隙に、私は両手を合わせて靴に向ける。
『錬金術…！【
「間抜けが…」
「お、のれ…ロー…！」
ドフラミンゴがローの言った通り呟くのが聞こえた。
トレーボルは気付くこともなく、杖の火を地面に向ける。
奴のベタベタは可燃性だ、急がないと…！
「危ねェ…！引火する気だ！！」
「道連れ…だァ〜〜〜！！」
『ロー！』
【黒靴】で地面を蹴った。
ベタベタは一斉に炎となって舞う。
それによりルフィもローも拘束は解かれた。
大きな炎は、王宮の外からも見えただろう。
『ロー、しっかりして！』
「A…！っぐ、お前…また無茶を」
『貴方に言われたくないっつってんでしょ！』
ローは微かに笑い、気絶した。
空中を蹴りながら屋上を見下ろす。
『ルフィ！！』
「A！これ！！」
『！』
ルフィは何かを持っている腕を伸ばした。
ローの右腕と鬼哭だ。すぐに受け取り、もう一度叫ぶ。
『ごめん、一旦離れる！！』
「おう！トラ男もAも、十分ミンゴを追い込んだ！！」
「あとは俺に任せろ！！」とルフィは続けた。
…頼もしい弟だ。
何はともあれ、一時撤退しよう。
だが私の体力も、もう限界を超えている。
どうしたものか…と空中を移動すれば、下から別の声が聞こえた。
「A！！トラ男くん！！」
『いいところに…ロビン、受け止めて！！』
「！わかったわ！」
『【解除】！』
【黒靴】の発動を解く。
そうすれば当然、私も、私が抱えるローも、重力に逆らわず落下する。
「"スパイダーネット"！！」
ロビンの無数の手が張ったネットが、しっかり受け止めてくれた。
ドフラミンゴがこちらを狙っているが、ルフィが止める。
止めきれなかった"弾糸"は、キャベンディッシュが迎え撃ってくれた。
『キャベンディッシュ！ドフラミンゴはルフィが相手をする、こっちのサポートを！』
「！だが、僕だって奴に一太刀…！！」
『ファンからのお願い！！』
「！！くっ…ならば仕方ない…！」
扱いやすくて助かる…。
彼は「下の段のバルトロメオに協力させよう」と駆けて行った。
ロビンとキュロスがローを地面に寝かせ、レベッカが私を支えてくれる。
ローの隣に座れば、"小さな妖精"が２人いた。
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作者名：さやま | 作成日時：2022年9月20日 16時
