１３年と２０年 ページ27
口の中に溜まった血を吐き出す。
武装色と呪術を中心に戦いながらも、傷は増えるばかりだ。
ドフラミンゴは【トリカブト】の毒がまだ残っていて動きが鈍い部分もあるから、ギリギリ戦えているような状態だった。
だが、それもそろそろ限界だ。
『っぐぅ…っ！！』
「A…うっ！」
腹に思い切り蹴りを入れられて、吹き飛ぶ。
すぐ後にローも蹴り飛ばされてしまい、私達は並んで倒れ伏す。
ラジオナイフの効果も既に切れた。
トレーボルは身体をくっつけ直し、ドフラミンゴをサポートして攻撃してくる。
周囲では炎が揺れていた。
「べへへ〜！まだ生きてるぞ！」
「ゲホ…ッ」
「…もう休め、ロー、A…」
【トリカブト】をほぼ解毒したらしいドフラミンゴ、そしてダメージは負っているが身体を取り戻したトレーボル。
対して、右腕がないローに、左足と右手がうまく動かない私。
あちこちを流れる血の感触が、気持ち悪い。
瓦礫を背に、上半身を起こす。
「…俺１人にも敵わねェお前らが、何故俺達２人に挑む…！？」
『ゼ、ハァ…』
「A…弟がいるからか？"麦わら"はそう簡単には来ないぞ」
ルフィはベラミーと戦っているだろうか。
真っ直ぐな優しい子だ。友達を、傷つけることは簡単じゃない。
ドフラミンゴは「ロー、お前は不憫な奴だな」と言った。
"白い町"に生まれた。地獄を見た。
珀鉛病とそれを取り巻く人々の誤解、疑念、差別によって苦しんだ。
ドンキホーテファミリーに入り、全てを壊したいと願った。
けれど"コラソン"が彼を救った。
"コラソン"の意思を継いで、彼はここまで来た。
「ローもAも…実に意味のない１３年と２０年。同情するよ」
「…」
「…今からお前らは間違いなく死ぬ」
私達の前にしゃがみ、ドフラミンゴはくるくると銃を回す。
銃口をローの胸元に当て、私を見た。
「だが犬死じゃつまらねェ…取引をしないか？」
「『！』」
「ローが「不老手術」を俺に施し…Aが俺の仲間になり尽くすなら…望みを何でも叶えてやろう」
ローと視線が交わる。
同時に笑って、ドフラミンゴを睨んだ。
「何でも…それが本心なら名案だな」
『えぇ、乗ろうか』
「！べっへっへ、物分かりがいいんね〜〜！」
『望みは…今すぐ"コラソン"と私の両親を蘇らせてよ』
「そして国民全員のケツでも舐めて来い」
「「！！」」
どんな屈辱を味わおうとも、お前の仲間になんかなってやらないし、ローは死なせない。
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作者名：さやま | 作成日時：2022年9月20日 16時
