腕 ページ23
毎回毎回、分断される。腹立つな。
トレーボルのベタベタで足を取られ、真っ直ぐ立つのも難しい。
自分の脚を結界で覆うことで平衡を保つが、結界自体もベタベタを逃れることはできない。
『気色悪い能力だな…！』
「失礼だんね〜〜〜！！全身ベタベタにしてやるもんね〜〜！」
そりゃお断りだっつの…！
ローのインジェクションショットは、ドフラミンゴの背後にある外壁塔の一部まで斬り取っていた。それを"タクト"でドフラミンゴの方へ飛ばしたが、防がれる。
『お前を潰して、さっさとローを助けないと』
「べっへへ〜〜！」
細かい結界を足元のベタベタに張って滅する。
粘液には大したダメージが入らず、トレーボルは他のバラバラになったパーツを私の周囲に集め始めていた。
ドフラミンゴとローが上空へ跳び上がったのがわかる。
会話は聞こえず、様子を見遣る余裕はない。
「ほらほら、早く全身ベタベタになるんだね〜！！」
『――結界術【礎】』
寄ってくるパーツそれぞれに狙いを定め、全て結界で覆う。
粘液は少しずつ結界を侵食し、そのうち食い潰すだろう。
その前に。
『【結】！！』
「べへっ！！？」
奴の顔面を覆った結界の中に、新たに結界を張る。
伸び上がらせたそれは、勢い良くトレーボルの右頬にぶち当たった。
間髪入れず、次々結界を張って顔面をボコボコに殴る。
「いっ、痛っ、んべ〜〜〜！！」
『！っ、呪術【爆】！』
攻撃を続ければ、足元のベタベタが少し緩んだ。
チャンスを逃さず、靴の中で指先を動かす。
パーツを覆っていた全ての結界の中で爆発が起きた。
「く、くそ…」
『うざすぎ。寝てろ』
「べへ〜〜！！」
顔面の結界を滅する。
トレーボルは気絶し、足が完全に自由になった。
『よしっ……！』
空を見上げた時、轟音が響いた。
煙と土埃、地面から伝わる衝撃。
そして、叫び声。
ローの、痛みに耐えかねた叫び声。
「っぐ、あああああ！！」
『！？』
「フフフ！」
煙が晴れた先。
地面に倒れるローは、右腕の肘から先がなかった。
ヒュッと喉が鳴って、呼吸が止まった。
私は呼吸を止めたまま、瞬きもせず。
手だけが、小刻みに震えていた。
両親は、両手両足を切り落とされた。
今、ローが、右腕を。
「俺はお前を許そう…実の父と弟を許したように…死をもってな！」
「『！！』」
その言葉と銃を構える奴の姿に、ハッと我に返った。
しっかりしろ、ミエット・A！！
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作者名：さやま | 作成日時：2022年9月20日 16時
