引鉄 ページ21
「お前らには…計り知れねェさ」
吹き飛ばされた身体は、ローに飛び込む形で受け止められる。武装化していたのに、腕は痛い。骨は大丈夫そうだ。
「っ」
『っう…ごめん、ロー』
「…謝るのは俺の方だ」
太ももと腕以外にも全身に負傷しているが、間違いなくローの方が重傷だ。
【アサガオ】をかけてある分、少しずつ回復しているだろうけど…。
ドフラミンゴは標的をルフィに変えたようだ。
腕を縛られているルフィは、何とか防戦している。
「堕ちた天竜人に！人間達が！！何をするか想像できるか！？」
さっき想像したよ。
そして私が想像した以上に、惨いことが行われたんだろうとも予想する。
ドフラミンゴは地面に倒れたルフィを思い切り蹴り落とした。
大きな音と共に、ルフィは階下へ落ちる。
ドフラミンゴは新たに分身を作り、ベラミーと共に階下へ送った。
「…まずはお前からだな、ロー」
「！」
「処刑を始めようか…」
「べっへっへ！んね〜〜！」
「…腑に落ちねェことがある」
ローと支え合うように座りながら、ドフラミンゴを見上げる。
「元天竜人のお前に、何故まだ権力がある…！」
ローはドフラミンゴが「ＣＰ‐０」を動かしたと続ける。
え、あの諜報機関を…？
前世での記憶にはほぼないが、今世で調べた。あの連中を動かすなんて、簡単なことじゃない。
ドフラミンゴはニヤと笑う。
２人でゆっくり立ち上がって、その笑みを睨んだ。
「俺が聖地マリージョア内部にある、重大な国宝のことを知っているからだ！」
『…国宝…？』
「それは存在自体が世界を揺るがす」
「『！？』」
天竜人達にとっては知られたくない事実…それをドフラミンゴは知っているから、手厚いサポートを受けられているのか。
始末しようにも、こいつはそうそう死なない。
ならば要求をのみ、協力者にでもなる方が得策と見たんだろう。
「――更にお前のオペオペの実の能力が、あの日俺の手中に入っていたら…」
ドフラミンゴは、「国宝」を利用して世界の実権さえ握れていただろうと語った。
どんな「国宝」だよ…。相当厄介な代物らしい。
オペオペの実の能力について語る奴に、ローは「知ってるさ」と返す。
前世で読んだ彼の過去のノベライズにも表記されていた。
今世では私の過去を話した時、彼のそれも聞いた。
「この能力の最上の業は…人に永遠の命を与える「不老手術」…」
けれどそれをやれば、能力者当人は命を失う。
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作者名：さやま | 作成日時：2022年9月20日 16時
