決戦 ページ17
ルフィが伸ばした足はドフラミンゴには届かず、奴が目の前に掲げたベラミーの顔面に当たる。
ルフィは慌てて謝罪した。
「さっき約束したろう、麦わら屋」
『怒りや憎しみを出すと、敵の思うツボだよ！』
「！」
「抑えろ！それを煽るのが奴の手だ！！」
冷静であることは、何事においても大事だ。
私もローもさっきは余裕がなくて、焦って、事を仕損じた。
覇気や新技を使う隙も与えられず、敗退した。
『ドフラミンゴは非情かつ冷酷なクソ野郎』
「いつでも一瞬のスキを狙ってるぞ」
「…ぷぷ」
ドフラミンゴの後ろに立っているトレーボルが、耐えかねたように笑い出した。ベラミーに蹴りを入れてしまったルフィを嘲笑っている。
ドフラミンゴも続けて笑い、「非情とは言ってくれるじゃねェか」と宣う。
「そうでもねェさ…俺は十分頭にきてる。お前らのやってきてことを考えてみろ！」
『…やってきたこと、ねぇ。パンクハザードでＳＡＤぶち壊したこととか？』
「それだけじゃねェ…ヴェルゴとモネを手にかけ、シーザーを連れ去り…」
ドレスローザではおもちゃ達を解放し、今もＳＭＩＬＥ工場を狙っている。ドフラミンゴは口角を上げていた。
怒りを通り越して笑っているだけだと言う。
「終いにゃ俺の首を取れる気でいる！お前らが現れてから散々だ」
「…」
「まるで１３年前の絶望を再び味わっているようだ！」
「！」
戯言を。
１３年前、絶望を味わったのは…
やりきれない、悲しくて辛い思いをしたのは…お前じゃ、ない。
「あの事件がなけりゃ、俺はこうしてお前の前に現れることもなかった！」
「あの事件がなかったら、お前は３代目の"コラソン"としてここにいたさ！"
「！また分身を」
ローが鬼哭を抜き、分身の攻撃を受け止める。
私は結界で彼のサポートに回った。
ならばとルフィが本体を狙ったが、ベラミーが阻む。
「麦わら屋、そいつは操られてる！」
「え！？」
『じゃあ私が本体を……ッチ、邪魔！』
「フッフッ！」
『分身うざ…ロー、私一瞬下がる』
「わかった」
後方へ下がり、少し距離を取る。
パチンと両手を合わせて刀に触れ、鞘ごと腰から抜き取った。
『錬金術【
鞘から抜いた刀は、白銀に輝いていた。
最後の最後まで本心を掴ませず、心の内で大切な人を想う気持ちを熱く燃やしていた死神。彼の刀、使わせてもらおうか。
『――射殺せ、神槍』
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作者名：さやま | 作成日時：2022年9月20日 16時
