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『お待ちどお！』
「！わあ〜」
「キャプテン、良かったですね！」
「おにぎりだ〜！」
「「「いただきます！」」」
ポーラータング号内の食堂。
私はそのキッチンにペンギンと共に入って、全員分の昼食を作った。
ベポの空腹具合を考慮して、すぐできる簡単メニュー。
昆布やおかかのおにぎりと、卵焼きや焼き魚。あと味噌汁。
前世の友人からの話と、彼女に読まされたノベライズで、ローが和食好きなのは知っていた。
「味噌汁、美味しい〜！」
「卵焼きふわふわ！」
「魚もいい焼き加減！」
『気に入ってもらえて良かった』
ハートの海賊団には、専任のコックはいないらしい。確かに原作でも登場はしていなかった。
家事は全て船員達が持ち回りで担当していて、料理は人によっては「白米！海苔！以上！」な時もあるとか。悲惨かよ。
「…このおにぎり、梅干しは入ってないだろうな」
『入れてないよ。苦手なの？』
それも知ってるけれど、知り得ない情報だから聞き返しておく。
ローはムッとした表情で「…あの酸っぱいのは駄目だろ」と呟いた。
『そっか。覚えとく』
「…覚える必要は無い」
『ところで、おにぎりって私の故郷では「おむすび」って言ってね。島の名物だったんだ』
「話を聞け」
「へぇ、おむすび」
「初めて聞いた」
パクパクと食べ進める手は止めず、皆が興味を示してくれたので詳しく話すことにする。
『私の故郷は「ムスビ島」っていう小さな島で…「結び」を大事にしてるの』
前世を思い出してから感じたのは、「日本的な文化や考え方の多い島だな」ということだ。
『「結び」って色々なものを表すんだけど…人と人の縁、時間の流れ、夢、あとは言葉も「結び」』
「へぇ…」
「何か、不思議な言葉だね」
『名物のおむすびも、両手でこう…作るでしょ？この動作が「結び」っぽいって。諸説あるけど』
「あー」
「言われてみれば？ぎゅっぎゅって」
「おむすび」の他に「組紐」も特産品だった。
ミサンガのように糸を編んで作るそれは、私の左手首にも巻いてある。
『この組紐も、「結び」ね』
「綺麗な色だね」
「朝焼けの空？」
「俺は夜空っぽいと思ってた」
「空の色だ」
「結び」にしろ「組紐」にしろ、前世で大ヒットしたアニメ映画を彷彿とさせるよね。
「じゃあ、俺達とAの出会いも「結び」？」
『！うん、そうそう！』
久々に大勢で囲む食卓は楽しかった。そしてこれもまた、「結び」だ。
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うみ(プロフ) - 読んでいく内に作者さんとはアニメの好みが似てる気がしてきた。Dグレいいですよね……！！！ (2022年9月3日 22時) (
レス) @page50 id: 9a2ffdd6e5 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - めちゃめちゃ好きです！！更新楽しみにしてます！ (2022年8月31日 4時) (レス) @page28 id: d0a5d42c58 (このIDを非表示/違反報告)
つな(プロフ) - あまりにも素敵なお話しすぎて感動してしまいました、更新楽しみにしてます！ (2022年8月31日 1時) (レス) @page28 id: 552499de56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さやま | 作成日時：2022年8月29日 16時
