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『あの鬼ごっこは、辛かったなぁ…ガープさんとの鬼ごっこ以上だった…』
キッドは私を倒すというより、私と勝負してみたいという気持ちで追いかけていたから、多分まだマシだったのだが。
あれで私の命を狙う勢いだったとしたら、あんなにうまく逃げられてない。
ガープさんといえば、海軍の有名どころともチラホラ遭遇している。
そちらの大物は、青雉だ。
彼とは島ではなく海上で出会った。
仕事をサボって放浪していた青雉が、たまたま私の船を見つけたのだ。
私としては海軍は「逃げるべき追っ手」なので最初は逃げようとしたのだが、彼は一言「お腹空いた」と言った。
『仕事サボってフラフラした末に、腹減ってその辺の海を渡ってる船に助けを求めるとか…』
前世から思ってはいたが、海軍らしくない人だ。
その一言で気が抜けてしまった私は、彼に手料理を振舞った。
―「うっま。Aちゃん、料理上手だねぇ」
―『…やっぱり私のこと知ってましたか。捕まえなくていいんです？』
―「本当は見つけたら即本部連行、って命令なんだけどね」
空腹を落ち着かせた青雉は、「美味しい食事に感謝して、今回は君を見逃すことにするよ」と言い残し、私を捕まえずに去っていった。
自由である。
助かったけども。
『さ、そろそろ昼ご飯の用意でもするか…』
早く使わないといけない食材、何かあったかなぁ。
今日の献立を考えながら、甲板に出してある椅子から立ち上がる。
と、少し離れた海上から、何やら騒ぎ声が聞こえた。
『…海賊船…あぁ、奥の海賊船とやり合ってるのか』
ごく一般的な海賊船。その髑髏マークに覚えはないから、ワンピキャラではないと思われる。
ただ、その奥でチラついた黄色い船とその髑髏には、見覚えがあった。
『ハートの海賊団！』
航海の殆どを潜水して過ごすはずのその船が、今は海上で、別の海賊船の襲撃に遭っている。
ワンピースに登場していない、もしくは私の記憶に残っていない程のモブの海賊船だ。
ロー達なら問題なく勝つだろうが…。
『…暇だもんな』
そう、私は暇を持て余している。
ローは久々に出会えた知り合い、それもキッドや海軍とは違って勝手に親近感を覚えている「同志」。
『うん、会いに行こーっと』
前世から比べれば、今世はかなり好奇心旺盛に育ったものだ。
私は昼食を作るという予定を変更して、右手の指を立てるのだった。
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うみ(プロフ) - 読んでいく内に作者さんとはアニメの好みが似てる気がしてきた。Dグレいいですよね……！！！ (2022年9月3日 22時) (
レス) @page50 id: 9a2ffdd6e5 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - めちゃめちゃ好きです！！更新楽しみにしてます！ (2022年8月31日 4時) (レス) @page28 id: d0a5d42c58 (このIDを非表示/違反報告)
つな(プロフ) - あまりにも素敵なお話しすぎて感動してしまいました、更新楽しみにしてます！ (2022年8月31日 1時) (レス) @page28 id: 552499de56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さやま | 作成日時：2022年8月29日 16時
