英雄 ページ22
失敗した。
すっかり忘れていたのだ。
何せ私の原作知識はへっぽこだから。
「よしお嬢さん、海軍に入るか！」
『丁重にお断りさせていただきます』
「何故じゃ！」
先程から何度も繰り返している押し問答。
その相手は、ルフィの祖父――モンキー・Ｄ・ガープ。
後に本部中将にまで登り詰める男…海軍の英雄である。
あれだけ海軍に会わないようにと航海してきたのに。
しかもガープて。ルフィのじいちゃんて。英雄て。フルコンボだドン。
『ですから…私はただの旅人です。ある目的のために海を渡っているだけ』
「むぅ…その目的というのは」
『話すつもりはありません』
この会話も、先程から何度も繰り返している。
目的については、シャンクスにも話さなかった。
時刻は正午。場所は例によってマキノさんの酒場。
ルフィはカウンター席で私達をちらちら見ながら食事中。
「…目的とやらは、海軍をやりながらでもやればいいじゃろう」
『えぇ〜…』
…仕方ない、このままでは永遠に勧誘されそうだ。
まだ彼には開示していなかった情報を出して、手打ちにしてもらおう。
海軍であることを考えれば言うべきじゃないんだけど、ガープさんなら悪いようにはしないはずだし。
『…ミエット海賊団、ご存知ですか』
「ミエット…あぁ、聞き覚えがある。数年前にある島で壊滅した海賊団だな」
『では、シラユリ海賊団は』
「おぉ、それも知っとるわい。確かミエットの副船長とシラユリの船長、副船長は、親子じゃった」
おぉ。ガープさんまで知ってるなら、どちらも強さは相当だな。
『…まだきちんと名乗っていませんでしたね』
そもそもガープさんが私を勧誘しているのは、ルフィと鍛錬しているのを見られたからだ。
その鍛錬で、彼は私の戦闘センスに価値を見出してくれたらしい。ルフィの鍛錬だから、私はそんなに動いてないんだけど。
『私の名前は、ミエット・A』
「ミエット…？まさか」
『ミエット海賊団の船長・リンツは私の父です。副船長は母。
そしてシラユリ海賊団の船長・ユリは私の祖母で、副船長は祖父』
「！…そうか、成程な」
視界の端で、ルフィが目を輝かせている。「A、海賊の血を引いてるのか！？」だって。
シャンクス達には話したけど、ルフィにはまだだったからね。
『そういうわけで、私は海軍には…』
「尚更気に入った！海軍に入れ！」
『わーあ何でぇ？』
マジで何でぇ？
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うみ(プロフ) - 読んでいく内に作者さんとはアニメの好みが似てる気がしてきた。Dグレいいですよね……！！！ (2022年9月3日 22時) (
レス) @page50 id: 9a2ffdd6e5 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - めちゃめちゃ好きです！！更新楽しみにしてます！ (2022年8月31日 4時) (レス) @page28 id: d0a5d42c58 (このIDを非表示/違反報告)
つな(プロフ) - あまりにも素敵なお話しすぎて感動してしまいました、更新楽しみにしてます！ (2022年8月31日 1時) (レス) @page28 id: 552499de56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さやま | 作成日時：2022年8月29日 16時
