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「A〜！」
馬鹿でかい声で名前を呼ばれた。
声の主はルフィで、勢いよくこちらへ飛び込んで来ようとしている。
『結界術【結】』
「ぶべっ」
結界でルフィを閉じ込める形にして、その勢いを空中で止める。
結界を１つ張るだけなら、【礎】は不要なのだ。
『【解除】』
「べはっ」
指パッチンと共に術を解く。
ルフィはそのまま床に落下した。
「何すんだよ！」
『飛び込まれたら痛いじゃん。それに、これくらい対処できないと』
「海賊王になりたいんでしょ？」と続けてやる。彼は「うぐ…そうだけど…」とさらにむくれた。
『なら努力を続けないと』
「…Aってさ」
『ん？』
ここはフーシャ村の宿。
ずっと滞在させてもらっているが、部屋は片付いていて、半分の荷物はまとめてしまっていた。
赤髪海賊団が出航してから、数日。
私もここをそろそろ離れようと、少しずつ身支度しているところなのだ。
「俺が海賊王になるんだって言っても、いつも馬鹿にしたり無理だって言ったりしねえよな」
『？まあ、そうね。もう聞き慣れたし』
「俺が言う度に、稽古厳しくなるもんな…」
最近、私はルフィに頼まれて稽古をつけてやっている。
と言っても、基礎体力をつけることくらいだが。
ルフィの年齢と体格に合わせて調整しているとは言え、私の鍛錬は師匠仕込み。かなりきついはずだけど、ルフィはよく頑張っている。
「他の皆は、絶対「なれる訳ない」って言うから…」
『ルフィもそう思うの？』
「思わない！！！」
『ならいいじゃん』
そんな鍛錬の中で、ルフィは事あるごとに「海賊王になる」と決意表明する。
私は前世から聞きなれたセリフだし、特に疑問もなく「じゃああと腹筋１００回追加〜」と流していた。
『私は、ルフィなら海賊王になれるって思ってるよ』
「！」
『めちゃくちゃ苦労するだろうし、努力は不可欠だけど』
しゃがんで、床に座るルフィと目線を合わせる。
真っ直ぐな瞳だ。
『私は、世の中には不可能なんてないと思ってる』
思い出すのは、ムスビ島での鍛錬と勉強の日々。
師匠と先生はいつも「努力は裏切らない」と言った。
「積み重ねは、いつか必ず結果になる」と。
『自分はどうしたいのか、どうすべきなのか。
常に考えて、しっかり歩いていけば、どんな夢もいつかは叶う』
だから頑張れ、ルフィ。
ニッと笑いかけると、ルフィは少し目を見張ってから、同じように笑った。
「おう！！」
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うみ(プロフ) - 読んでいく内に作者さんとはアニメの好みが似てる気がしてきた。Dグレいいですよね……！！！ (2022年9月3日 22時) (
レス) @page50 id: 9a2ffdd6e5 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - めちゃめちゃ好きです！！更新楽しみにしてます！ (2022年8月31日 4時) (レス) @page28 id: d0a5d42c58 (このIDを非表示/違反報告)
つな(プロフ) - あまりにも素敵なお話しすぎて感動してしまいました、更新楽しみにしてます！ (2022年8月31日 1時) (レス) @page28 id: 552499de56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さやま | 作成日時：2022年8月29日 16時
