同居生活、始めました。【橙】

5-3☆大貴side（7/26更新） ページ26

〔カランカラン〕









「いらっしゃいませ。




1名様ですか？」









大貴「あ、いや。





あとから一人来ます。」









「かしこまりました。」









ウエイトレスさんに案内された席につき、とりあえずコーヒーを一杯頼んだ。




いつもAと利用している喫茶店なのに、今日は妙に落ち着かない。









悠馬は絶対Aを連れてくるって言ってたけど。




本当に来るのだろうか…









「おまたせいたしました。」









そう言い目の前に置かれたコーヒーをじっと見つめた。









『ここのコーヒーはおいしいからっ。』









そうAに勧められて飲んだんだよな。





このお店に来ると、Aとの思い出がどんどん蘇ってくる。




一緒に勉強したこと。




巨大パフェに挑戦したこと。





ちょっとしたケンカをしたこと。





でも、パンケーキがきて自然と仲直りしたこと。









初めてキスしたこと。




初めて手を繋いだこと。





初めてケンカしたこと。






初めてお泊まりしたこと。





初めて一つになったこと…









気づいたら自分の目から涙が溢れていた。





あー。





俺はこんなにもAのことが好きだったのか。









『お前、Aのこと好きなんだろ？




俺んとこにいんの知ってんのに、なんで迎えにこないんだよ。』









昨日の悠馬との会話をふと思い出した。









大貴『Aを傷つけた俺があうしかくなんてないだろ…』









悠馬『バカ言ってんじゃねーよ。




あのな、Aを幸せにできるのは有岡だけなんだよ。





親でも俺でも。山田や葛西、知念でもなくて、有岡だけなんだよ。





悔しいけど。





だから、お願いだから。





会ってあげてよ……』









悠馬は泣きながら話していた。




悠馬が泣いているところなんて初めて見たもんだから、今でも驚いている。






でも、悠馬にとってAはそれだけ大切なんだ。









大貴「俺も、見習わなきゃ。」









俺はコーヒーを一気に飲み、深呼吸した。





Aのためにも。




悠馬の思いのためにも。









大貴「A……絶対来てくれよ。」









俺はひたすら祈った。

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