ずっと鳴り響けと願った ページ32
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12月24日。
いつも通りの仕事終わり。
今日も疲れた〜とぐっと伸びをしていると
「A」
後ろから低音のかっこいい声が。
「お待たせしました！」
「そんな待ってないよ」
1週間ほど前、土曜日空いてる？と誘われ今に至る。
どこいくんですか？と聞いても「秘密〜」とはぐらかされる。
梅原について行くように歩いていくといつもは通らないような裏路地に入った。
「隠れ家みたいな？」
「ちがうって(笑)」
「じゃあなんですか！」
「それはお楽しみ〜」
人気のない道を進んでいくとその先にはキラキラとした光に包まれていた。
「イルミネーションだ！すごい！！」
「ここ穴場スポットなんだって」
「教えてくれてありがとうございます！」
「2人の秘密な、」と口元に人差し指を持っていく。
イケメンは何をしても様になる。
「ふふ、もちろん！」
何歳になっても光り物には惹かれてしまう。
イルミネーションは季節のフォトグラフ。
誰もが浮かれて携帯の虜の中、梅原は楽しそうに笑う犬飼を見つめていた。
「……そんな見つめられたら穴開いちゃう、イルミネーション見てくださいよ！」
「おれはイルミネーションよりAのほうが綺麗に見えるよ」
ありきたりなその言葉、それが本心かどうかもわからない。
真に受けたら負けだと思いながらも、そんな真剣に言われれば………
「っ、照れちゃう」
「ふはっ、かわいい」
「なんでこんなカップル多いんですかね」
「イブだから？」
「うわ！今日イブか！！！今年もぼっちだ……」
「可哀想〜」
「梅原さんも言えないくせに！！！
でも今はいいや、梅原さんいるし！側から見たら私たちもカップルに見えますかね？」
何気ない一言だったが、梅原の胸はどきりと高鳴った。
それこそ真に受けてはダメだ。
少女漫画のような気を引きたい、そうなりたい、と言う意味ではない。
犬飼にとってはただの純粋な疑問だったのだろう。
「………キスでもかましとく？」
「やめてください(笑)」
ここは冗談ぽく流しておこう。
いつかは恋人として堂々と隣で過ごせますように、なんて意味もなく聖なる夜に心の中で願った
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作者名：凜 | 作成日時：2022年11月13日 21時
