九話 ページ11
「ふざけやがって、あの凶悪ジジイがぁ……」
背中に大きなリュックを背負ったAがさぞ不機嫌そうに言う。結局おじさんの変な圧に負けて俺はマジフト大会やらの当日になり参加することになった。
もういっそのことほったらかして今すぐ返ってしまうおうか、しかしここで帰ったとしても無駄だということは、あの鬼の元で働いた中で痛いほどわかっていた。俺は大股で歩くはじめて、大勢に人の波に紛れ込む。
「はいはい、こちら商品販売の方お集まりください」
そんな声が聞こえてくる。あ、もしかしておじさんが言ってたのってこれか？と思いながら声の方向へ近づくとなんともお洒落な帽子にスーツ、眼鏡をかけた男と、双子なのだろか身長が百九十もあろう大男がいた。
「おい、ここが俺が担当していい場所なのか？」
男に近づき、病み上がりで苦しい頭を働かせて声をかける。
「あなたが街一番の飲食店の店主さんですか。ここの運営委員長を務めています。アズール・アーシェングロットと言います。以後お見知りおきを」
そう名乗った男は、強引に俺の右手を掴むと、ぶんぶんと上下に振った。
「いや、俺はお前の言う店主のこき使われている従業員だ」
振り返ったアズールという男は俺を見て、細い眉を上げる。噂で聞いたことが、おじさんは従業員を一人も雇わないことで有名で、店の掃除や買い出しも余程の信頼がない奴には頼まないそうだ。その『街一番の有名所の店主が信頼できる存在』が、頭の中でうまくつながらないのだろう。
「はぁ？君が？」
アズールの口調が乱暴なものになる。
「そうだ。俺があのジジイの一番弟子かつ最初の従業員だ。ちなみにジジイは忙しくて来れないから俺が行くように言われた」
「へぇ…、そうなんですか。それは光栄です」
慇懃な態度をとりもどしたアズールは、コートのすそで自分の手を吹くと、俺にまた一度右手を差し出す。しかし、Aはその手が見えていないように微動だにせず鋭い視線を男に向けていた。
アズールが根負けしたように手を引っ込める。
「実は、僕もモストロ・ラウンジというのを経営しておりましてね。同じ経営者同士、これからもどうぞよろしく」
目の前の眼鏡の男が今にももみ手をしながら腰を低くして言うのを見てAはつまらなそうに鼻を鳴らす。Aは人に対し機嫌を損ねることはほとんどないが、今のAは明らかにアズールに嫌悪感を持っているように見えた。
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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (
レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです！！！！！！ (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです！ (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねっとり | 作成日時：2022年1月20日 16時
