サマー・スプラッシュ ３ ページ7
「しょうちゃん、おきて、ついたよ！」
雅紀が翔を揺さぶった。
思わず雅紀を抱き寄せキスしそうになる
翔に「げ！」と雅紀が、かえるの
つぶれたような声をあげる。
「もー！なんの夢みてんの！」
ぺちんと雅紀にほほをはたかれて、
翔は目が覚めた。
駅を降りると、翔はけげんに雅紀を見た。
「おい、むかえの車はどこだ？」
「ないよ。これから、しょうちゃんは俺と
同居して自炊すんの。運転手も家政婦も
おかかえシェフもなしだからね。」
にっこり笑っていう雅紀に、
「おやじはそこまで俺を見放したのか。」
とうなだれて、絶望する翔に
雅紀はけらけら笑った。
「ちげぇーよ。これは、東先生のリクエスト。
しょーちゃんもいいかげん
男として自立しないとね。」
ぽんぽんと肩をたたかれた。
「あ、おむかえきたよ！」
雅紀が手をぶんぶん振る。
「よッ！」
「智君？」
翔が聞き返したのは、
その変貌ぶりにだった。
子供のころ一緒に遊んだ智君は、
女の子みたいに可愛かった。
それが、いつの間にか日焼けして、
精悍な青年になっていた。
「翔君、久しぶり。ほら、乗って。」
なんと、雅紀と翔は、軽トラックの荷台に
荷物とともに乗り上げた。
海風が飛ぶように過ぎていく。
目を閉じると、あの日のことが、
まるで走馬灯のようによみがえる。
海を見ることが、まだ、翔には怖かった。
亡くなった祖母。溺れた記憶。母の死。
手の中をすり抜けていく大切なもの。
「なんで、俺はこんなに
意気地なしなんだろう？」
膝に顔をうずめて嘆く翔の頭を雅紀が、
優しくぽんぽんとたたいた。
「それはね、しょうちゃんが、まだ、
本当に人を愛したことがないからさ。
そのうち、わかるよ、
誰かを好きになったら、強くなれるから。」
そう、やわらかく微笑む雅紀にむかついて、
雅紀をにらんだ。
「ガールフレンドもいないくせに。」
「ふふ、でも、俺はとーちゃんも、
かーちゃんも、弟も、
しょうちゃんも愛してるよ。」
そう、きっぱりいう雅紀がまぶしかった。
誰も愛していない。
それはあたっていた。
最愛の祖母と母をなくした今、
翔の愛情の行き場はどこにもなく、
立ちふさがれていて、
自分さえ愛せなかったからだ。
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つむぎ(プロフ) - まみさん» あーざーす。仕事が鬼忙しくなってきたので、書きかけのリンドしめたら、しばらく読み専になると思いますので、まみカフェあたりでお会いしましょう。 (2016年6月17日 22時) (
レス) id: c6db647c42 (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - 完結おめでとー(T^T) よかったー、よかったよう！ 人魚のふたり、きっと美しいやろうなあ…。お話の途中でザクザクに切り刻まれたココロも、ふたりがくっついて復活したよ！ おつかれさまでした(*´ω｀*) (2016年6月17日 20時) (レス) id: 301ac66011 (このIDを非表示/違反報告)
つむぎ(プロフ) - 12（とうふ）さん» かずくんのＢ−ｄａｙに間に合わせたいのと、仕事がたてこんでるのとで、あせって、はしょってます。ほんとは錦とか出てくるんだけど、、たぶん、中途半端な恋人８を完成させたら、半月ほど、ばっくれます。日本に久々、行くんで。 (2016年6月15日 7時) (レス) id: c6db647c42 (このIDを非表示/違反報告)
12（とうふ）(プロフ) - つむぎさん、つむぎさん、つむぎさん！！！！！（じたばた）サラリとした描写で流されている箇所がもうほんと勿体ないおばけでそうなくらい贅沢なんですけども、スピーディーな展開にドキがムネムネ。ドクターがいい人でよかった！ちっちゃな小瓶にいれて飼えませんか… (2016年6月15日 7時) (レス) id: c851ed20e9 (このIDを非表示/違反報告)
つむぎ(プロフ) - まみさん» 所詮、かなわない恋ですからね。つむぎのわるい癖でちょこっとだけはみ出すんですよ、いつも。もうすぐ仕事が忙しくなるので、しばらくかけないし。 (2016年6月10日 22時) (レス) id: c6db647c42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おおしまつむぎ
作成日時：2016年4月23日 13時
